1989 年 4 巻 1 号 p. 40-43
6歳男子。左母指側爪廓部に灰黒色疣状扁平隆起性皮疹が1年前より発生し, 組織像ではボーエン病類似の所見を示した。本例はボーエン病としては若年過ぎるし組織像でも異型性の程度が軽く, また尋常性疣贅としても組織での異型性が強く, 空胞化細胞少なく, ヒト乳頭腫ウイルス抗原も証明されていない。一方Bowenoid papulosisとしても発生部位が外陰以外の手指で, 単発である点問題がある。しかし稲本らは足趾間に単発した例をSolitary extragenital bowenoid papulosisとして記載しており, 本例も現在のところ, この稲本らの報告例に極めて類似したものと考える。