紫外線発癌研究の現状と問題点を概説した。
歴史的にみれば紫外線発癌研究はまず太陽光線曝露と皮膚発癌の関連を明らかにする疫学調査からはじまった。次いで人工光源を動物皮膚に照射し皮膚癌誘発に成功した。1968年には太陽光曝露部皮膚高発癌の色素性乾皮症由来細胞がDNA損傷修復に欠損を持つことが明らかにされ, DNA修復と発癌の関連が注目された。1980年代に入ると, protooncogeneの活性化や突然変異およびsuppressor-oncogeneの欠落が化学発癌物質やイオン化放射線照射で次々と見出され,UVでも同様のデーターが出はじめている。
一方, 紫外線照射マウスは同系の紫外線誘発皮膚癌を拒絶できない。従って, UVによりヒト皮膚でも同様, 免疫監視機構の抑制が示唆される。