皮膚の科学
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ロキシスロマイシンとデプシペプタイドによるマウスT細胞リンパ腫株の増殖抑制効果
森村 壮志菅谷 誠佐藤 伸一
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2012 年 11 巻 Suppl.19 号 p. 11-15

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抄録
 ロキシスロマイシン (RXM) は14員環マクロライドの抗生物質であり,T細胞に対して様々な抑制作用が報告されている。デプシペプタイド (FK228) は,皮膚T細胞リンパ腫の治療薬として使用される,ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬である。RXM と FK228 はそれぞれ有意にマウス由来T細胞リンパ腫株の増殖を抑制した。両薬剤は共に Akt と ERK のリン酸化を抑制し,おもに ERK のリン酸化抑制が細胞増殖抑制と相関していた。また RXM と FK228 は,生体内の血中濃度である 10μM と 50nM において,同時に加えることにより細胞増殖抑制効果の増加を認めた。以上より RXM と FK228 の併用は,T細胞リンパ腫の治療として有望である。(皮膚の科学,増19: 11-15, 2012)
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© 2012 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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