皮膚の科学
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11 巻, Suppl.19 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 有田 賢, 笠井 麻希, 清水 宏
    2012 年 11 巻 Suppl.19 号 p. 1-3
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/07/06
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    EGFR (Epidermal Growth Factor Receptor) 阻害薬は手術不能例や再発例の肺がん,結腸・直腸がんに対して近年多数の症例に用いられているが,高率に皮膚障害をきたすことが知られている。我々は EGFR 阻害薬による皮疹を生じた9例に対しロキシスロマイシン 300mg 内服を投与した。治療に対する効果は,著効が3例,軽快が5例,不変が1例で,有効率は88.9%であった。ざ瘡様皮疹については全例著効ないし軽快し,爪囲炎に対しては著効が1例,2例が不変であった。ロキシスロマイシンは EGFR 阻害薬により生じる皮疹に対し,有用な治療の選択肢の1つと考えられた。(皮膚の科学,増19: 1-3, 2012)
  • 大山 学, 小林 哲郎, 坂井 奈津子, Veraitch Ophelia, 天谷 雅行
    2012 年 11 巻 Suppl.19 号 p. 4-10
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/07/06
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    ロキシスロマイシンをはじめとするマクロライド系の薬剤は,好中球性瘢痕性脱毛症などの治療にも用いられる。本研究ではロキシスロマイシンが毛包細胞に与える影響をヒト毛包細胞と類似した特性を有するイヌ毛包細胞,特にバルジ幹細胞に富んだケラチノサイトと毛乳頭細胞を用いて検討した。高濃度のロキシスロマイシンはケラチノサイト,毛乳頭細胞両方の in vitro での増殖能を抑制した。また,ロキシスロマイシンは増殖能に影響しない濃度では,ケラチノサイト分画におけるバルジ幹細胞のマーカー発現に影響を与えないが,毛乳頭細胞の特性を規定する因子の発現には影響を与え,特に WNT シグナル系を通じて毛乳頭細胞を活性化する可能性が示唆された。(皮膚の科学,増19: 4-10, 2012)
  • 森村 壮志, 菅谷 誠, 佐藤 伸一
    2012 年 11 巻 Suppl.19 号 p. 11-15
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/07/06
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     ロキシスロマイシン (RXM) は14員環マクロライドの抗生物質であり,T細胞に対して様々な抑制作用が報告されている。デプシペプタイド (FK228) は,皮膚T細胞リンパ腫の治療薬として使用される,ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬である。RXM と FK228 はそれぞれ有意にマウス由来T細胞リンパ腫株の増殖を抑制した。両薬剤は共に Akt と ERK のリン酸化を抑制し,おもに ERK のリン酸化抑制が細胞増殖抑制と相関していた。また RXM と FK228 は,生体内の血中濃度である 10μM と 50nM において,同時に加えることにより細胞増殖抑制効果の増加を認めた。以上より RXM と FK228 の併用は,T細胞リンパ腫の治療として有望である。(皮膚の科学,増19: 11-15, 2012)
  • 伊藤 泰介, 橋爪 秀夫, 瀧川 雅浩, 戸倉 新樹
    2012 年 11 巻 Suppl.19 号 p. 16-21
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/07/06
    ジャーナル 認証あり
    今回我々は,ケモカインによるリンパ球の遊走に対してロキシスロマイシン (RXM) が Th1,Th2,抑制性T細胞それぞれにどのような影響を与えるのかを,各細胞を 10mM RXM 添加したメジウムで18時間培養後,FACSCaliburTM や細胞走化性測定装置 EZ-TAXIScanTM を用いてケモカイン受容体発現,T細胞の形態変化や方向性など走化性を観察した。健常人由来 Th1 細胞上の CXCR3 や Th2 細胞,抑制性T細胞上の CCR4 発現には影響を与えなかった。RXM 無添加 RPMI で培養した Th1 細胞,Th2 細胞,抑制性T細胞はそれぞれに IP-10,TARC を添加した側に一定に遊走するが,10mM RXM 添加 RPMI で18時間培養した Th 細胞はその方向性が乱れ遊走性が阻害された。一方,抑制性T細胞の走化性には影響を与えなかった。クラリスロマイシン (CAM) やエリスロマイシン (EM) にはそのような特徴は観察されなかった。RXM はケモカイン受容体の発現には影響を与えないが,Th1,Th2 細胞のケモカインによる走化性を抑制することによって Th1 優位,Th2 優位それぞれの疾患に対して治療効果を示すものと考えられた。(皮膚の科学,増19: 16-21, 2012)
  • 中村 元樹, 上田 優希子, 林 麻衣, 古橋 卓也, 森田 明理
    2012 年 11 巻 Suppl.19 号 p. 22-26
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/07/06
    ジャーナル 認証あり
    塩酸ミノサイクリン (MINO) 内服による副作用として,皮膚の色素沈着が数多く報告されている。我々は MINO と同様に皮膚科領域において汎用されるロキシスロマイシン (RXM) についても,同様の副作用の有無を検討するため,RXM がメラノサイトのマスター遺伝子である MITF の発現に与える影響を検討した。その結果 RXM は正常ヒトメラノサイトでの MITF 発現を亢進させることが分かった。MITF の発現亢進は,紫外線照射下においてより顕著にみられた。このことは RXM でも MINO 同様に色素沈着の副作用が起こる可能性があることを示唆している。(皮膚の科学,増19: 22-26, 2012)
  • 大塚 篤司, 中東 恭子, 山本 洋介, 小野 さち子, 椛島 健治, 宮地 良樹
    2012 年 11 巻 Suppl.19 号 p. 27-30
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/07/06
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    好酸球性膿疱性毛包炎 (Eosinophilic pustular folliculitis: EPF) は,毛嚢一致性のそう痒性丘疹,無菌性膿疱が再燃寛解を繰り返す原因不明の慢性炎症疾患であり,病理組織学的に毛包脂腺系に多数の好酸球浸潤を伴う。EPF 治療には,シクロオキシゲナーゼ阻害薬であるインドメタシンが第一選択として用いられ約7割の患者に奏効するとされている。一方,抗生剤が効果的である症例をしばしば経験するが,その実態は明らかでない。今回我々はアンケート調査を行い,EPF に対する抗生剤の効果を検討した。その結果,ロキシスロマイシンが効果的であることが示唆された。(皮膚の科学,増19: 27-30, 2012)
  • 中村 元信, 戸倉 新樹
    2012 年 11 巻 Suppl.19 号 p. 31-35
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/07/06
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    ロキシスロマイシンは14員環マクロライドの1つであり,抗生物質としての作用以外にサイトカイン産生抑制,抗酸化,好中球機能抑制などさまざまな作用が知られている。組織にマスト細胞の浸潤が認められた好酸球性膿疱性毛包炎にロキシスロマイシンを投与したところ,効果が見られた1例を経験し,ロキシスロマイシンによるマウス骨髄由来マスト細胞の IL-13,CCL17/TARC,CCL22/MDC 産生調節について検討を行った。ロキシスロマイシンは IL-13,CCL17/TARC,CCL22/MDC いずれの産生も抑制した。今後,マスト細胞が関与した皮膚疾患にロキシスロマイシンの効果が期待される。(皮膚の科学,増19: 31-35, 2012)
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