抄録
69歳,女性。クロトリマゾール外用剤を塗布した後,両足に重度の湿疹を生じ受診した。患者は10年前にも,セバシン酸ジエチルを含む塩酸ネチコナゾール外用液による接触皮膚炎の既往があった。我々はクロトリマゾール外用剤 (as is) とその各々の成分について48時間閉鎖貼付試験を施行した。結果はクロトリマゾール外用剤 (as is) とセバシン酸ジエチル(5% pet) で陽性であった。従って,自験例をセバシン酸ジエチルによるアレルギー性接触皮膚炎と診断した。10年前は成分パッチテストは施行されていなかったが,この時の原因もセバシン酸ジエチルであったと推察し,成分パッチテストまで施行していれば今回のエピソードは避け得たと考えた。(皮膚の科学,13: 269-272, 2014)