皮膚の科学
Online ISSN : 1883-9614
Print ISSN : 1347-1813
ISSN-L : 1347-1813
13 巻, 4 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
症例
  • 中野 真由子, 種村 篤, 小泉 佳奈, 横見 明典, 片山 一朗, 中西 元, 田中 俊宏, 関本 貢嗣
    2014 年 13 巻 4 号 p. 263-268
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/11/08
    ジャーナル 認証あり
    62歳,男性。肛門部~陰茎に融合する黒褐色局面をみとめ Bowen 病の診断のもと,2006年(57歳時)以降前医にて計5回の外科的切除が繰り返されたが,組織上毎回断端陽性であった。2010年11月当科紹介受診時,肛門全周性の色素沈着,色素脱失を混じた淡紅色局面および,陰嚢から右陰股部の色素沈着,色素脱失を混じた多発性黒褐色丘疹を認めた。臨床像および組織所見より Bowen 病と診断し,肛門周囲皮膚および肛門粘膜の拡大切除に加え,多発病変を切除した。この腫瘍検体からの抽出 DNA を用い,まず HPV 遺伝子の multiplex PCR (polymerase chain reaction) を施行し,HPV16 遺伝子の増幅を確認した。さらに,HPV ウイルスの integration の有無を APOT (amplification of papillomavirus oncogene transcript) 法にて検討したところ,メッセンジャー RNA の integration が確認されず,最終的に episomal form の HPV16 感染を認めた Bowen 病と診断した。腫瘍内でのウイルス DNA の宿主ゲノムへの取り込みは確認できなかったものの,本症の発症に HPV 感染が関与した可能性が示唆された。(皮膚の科学,13: 263-268, 2014)
  • 木村 友香, 中川 浩一, 岸田 大, 木下 理恵, 加藤 敦子, 大迫 順子
    2014 年 13 巻 4 号 p. 269-272
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/11/08
    ジャーナル 認証あり
    69歳,女性。クロトリマゾール外用剤を塗布した後,両足に重度の湿疹を生じ受診した。患者は10年前にも,セバシン酸ジエチルを含む塩酸ネチコナゾール外用液による接触皮膚炎の既往があった。我々はクロトリマゾール外用剤 (as is) とその各々の成分について48時間閉鎖貼付試験を施行した。結果はクロトリマゾール外用剤 (as is) とセバシン酸ジエチル(5% pet) で陽性であった。従って,自験例をセバシン酸ジエチルによるアレルギー性接触皮膚炎と診断した。10年前は成分パッチテストは施行されていなかったが,この時の原因もセバシン酸ジエチルであったと推察し,成分パッチテストまで施行していれば今回のエピソードは避け得たと考えた。(皮膚の科学,13: 269-272, 2014)
  • 桑原 理充, 萬木 聡, 飯岡 弘至, 山中 佑次, 佐々木 智賀子, 中西 崇詞, 谷口 晃, 淺井 英樹, 福本 隆也, 小林 信彦, ...
    2014 年 13 巻 4 号 p. 273-277
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/11/08
    ジャーナル 認証あり
    2000年から2012年に奈良県立医科大学を受診した血管肉腫患者16名について,前駆病変なく小病変に手術を行った群(手術群),前駆病変なく手術を行わなかった群(非手術頭部群),慢性リンパ浮腫または放射線照射を背景に発症した群(前駆病変群)の3群に分け比較した。直径 1.2cm 未満の小さな病変であった手術群は,手術および集学的治療を行った結果,再発を認めなかったことから,このような小さな病変では今後も積極的に手術を行うべきと考えられた。非手術頭部群は受診までの期間が長く,病変が大きいものが多かったことから,早期発見のため社会啓蒙が重要と考えられた。この群では放射線療法,化学療法は一定の効果を認め,予後の改善に寄与したと考えている。慢性リンパ浮腫や放射線照射後の症例は早期に受診していても病変が大きく,局所治療効果が乏しかった。(皮膚の科学,13: 273-277, 2014)
  • ―交差反応についての検討―
    神保 晴紀, 古松 茜, 福永 淳, 清水 秀樹, 錦織 千佳子, 山下 純史, 皿山 泰子, 原田 晋
    2014 年 13 巻 4 号 p. 278-284
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/11/08
    ジャーナル 認証あり
    ニューキノロン系抗菌剤による即時型アレルギーの3例を経験した。ニューキノロン系抗菌剤は構造式上,本環の母核が2環もしくは3環から成るものに大別される。症例1では2環系キノロンのシプロフロキサシンとモキシフロキサシンが,症例2では3環系キノロンのレボフロキサシンとパズフロキサシンが,症例3ではレボフロキサシンとその光学異性体を含むオフロキサシンが,それぞれ感作薬剤と交差反応を示した薬剤であった。抗原決定基は2環系キノロンでは1位側鎖のシクロプロピル基,3環系キノロンではピリドベンゾオキサジン環にあると考えた。同系のキノロン同士では交差反応が生じやすく,他系統間では起こりにくいと考えた。(皮膚の科学,13: 278-284, 2014)
  • 藤田 美幸, 成田 智彦, 大磯 直毅, 川田 暁
    2014 年 13 巻 4 号 p. 285-289
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/11/08
    ジャーナル 認証あり
    29歳男性の毛巣洞再発例について報告した。術前にコンピュータ断層撮影と核磁気共鳴画像法で仙骨部に再発した病変を検討し,瘻孔の大きさ,先天奇形がないこと,筋膜や骨に浸潤がないことを確認した。瘻孔部にクリスタルバイオレットを注入し,周囲正常組織を含め病変の残存がないように切除した。病理組織像で表皮と連続し多数の毛髪を含む瘻孔の形成と,その周囲に好中球,リンパ球,形質細胞などの炎症細胞浸潤を確認した。術後には肥満の解消,長時間の座位の回避などの生活指導を実施した。毛巣洞では,術前の画像評価,肉芽組織を含めた瘻孔の完全な切除,術後の生活指導が重要であると考えられた。(皮膚の科学,13: 285-289, 2014)
feedback
Top