2016 年 15 巻 4 号 p. 254-258
10歳代,男性。急性骨髄性白血病に対し臍帯血移植を施行された。移植後69日目に両頬部と頸部に強いそう痒を伴う紅色丘疹と膿疱が集簇性に出現した。末梢血中に著明な好酸球増多(白血球数 14,100/ml,好酸球53.0%,7,420/ml)がみられ,病理組織で毛包内と周囲に多数の好酸球主体の炎症細胞浸潤を認めた。膿疱内の細菌培養は陰性。好酸球性膿疱性毛包炎(eosinophilic pustular folliculitis: EPF)と診断し,インドメタシンの内服および外用療法により良好な経過を得た。調べ得た限り臍帯血移植後に EPF を発症した報告はない。臍帯血移植後に顔面にそう痒の強い膿疱や丘疹をみた場合,EPF も鑑別すべき重要な疾患と考えた。(皮膚の科学,15: 254-258, 2016)