2016 年 15 巻 6 号 p. 502-512
女性における男性型脱毛症(Female pattern hair loss[FPHL])に対する外用医薬部外品は様々あるが,女性ホルモンに着目したものについての検討は少ない。我々は FPHL 患者に対するエチニルエストラジオールを有効成分とする育毛剤の安全性と有効性を評価した。30例の FPHL 患者を対象とし,育毛剤を頭皮に1日2回,24週間使用させた。結果,脱落例を除く22例中2例に副作用(そう痒,紅斑)が生じたが育毛剤の使用の中止により軽快した。24週間連用した20例では,臨床所見の「脱毛の程度」ならびに自覚症状の「抜け毛の程度」で高い改善傾向を認めた。また「抜け毛の量」の有意な減少が自覚症状では4週後から,アンケート評価(VAS)では8週後から確認され,臨床所見の「脱毛の程度」が12週後から有意に改善しており,有効性を早期から実感出来ることが示唆された。以上から,本育毛剤は軽症の FPHL 患者に対して使用可能であると考えられた。(皮膚の科学,15: 502-512, 2016)