皮膚の科学
Online ISSN : 1883-9614
Print ISSN : 1347-1813
ISSN-L : 1347-1813
使用試験
コーヒーポリフェノールの摂取による乾燥肌およびストレス症状への効果
―ランダム化二重盲検比較試験―
上田 早智江須摩 茜田村 亮片岡 潔杉山 義宣水谷 仁高木 豊
著者情報
ジャーナル 認証あり

2017 年 16 巻 5 号 p. 347-355

詳細
抄録

背景:クロロゲン酸(chlorogenic acids)を主成分とするコーヒーポリフェノール(Coffee Polyphenols,CPPs)の継続摂取には,抗腫瘍,抗酸化,高血圧改善,脂肪消費促進作用等の生体における効果が報告されている。さらに近年,顔面や手の皮膚の角層水分量増加および鱗屑改善効果も見出されている。目的:CPPs の継続経口摂取による顔面,下肢皮膚の角層機能への影響を明らかにする。さらに,ストレス症状への影響についても検討する。方法:健常成人女性108名を対象とし,CPPs 配合飲料(クロロゲン酸 300mg/100ml/day)の効果を CPPs 無配合(プラセボ)飲料を対照として8週間継続摂取するランダム化二重盲検並行群間比較試験により検討した。皮膚性状,血流調節機能の計測,および主観評価に基づく皮膚性状の変化・ストレス症状の評価を行った。結果:8週間の摂取試験後,CPPs 配合飲料摂取群では,プラセボ飲料摂取群と比べ,顔面および下肢の角層水分量の増加,テープ剥離後の水分蒸散量増加の抑制が認められると共に,ストレス症状の改善が認められた。結論:これらの結果から,CPPs の継続摂取により全身の皮膚の乾燥の改善が期待されると共に,ストレス症状の低減が示唆された。(皮膚の科学,16: 347-355, 2017)

著者関連情報
© 2017 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
前の記事 次の記事
feedback
Top