皮膚の科学
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16 巻 , 5 号
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Dr.村田の Clinico-pathological notes
  • 村田 洋三
    2017 年 16 巻 5 号 p. 298-305
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/06/15
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    【I】前々回では Bowen 病に自然消退が生じることを示した。その応用として,Bowen 病に対する局所温熱治療の有効性について述べる。【II】Bowen 病の浸潤癌化に関して,その頻度について考察した。従来の集計と同様,多発性 Bowen 病においては単発性 Bowen 病よりも浸潤癌化率が高かった。これは単なる二項分布の確率分布よりも高い頻度で起こっていることも示した。【III】Bowen 病による原病死9例を検討したところ,多発例が多く,また2例では免疫抑制状態の併存が見られた。【IV】多発例で砒素摂取は重要な危険因子であるが,その病歴聴取の要点を示した。特に地域による河川底砒素濃度の情報は有用である。(皮膚の科学,16: 298-305, 2017)
症例
  • 笹橋 真紀子, 山下 彩, 渋谷 真美, 松井 美萌, 清水 和輝
    2017 年 16 巻 5 号 p. 306-309
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/06/15
    ジャーナル 認証あり
    症例1:30歳代,男性。発熱,右手背から前腕の腫脹,疼痛を主訴に当院時間外の外来を受診した。蜂窩織炎と診断され,抗生剤の点滴,内服処方にて帰宅した。翌日当科外来受診時,発赤を伴う高度な腫脹,疼痛,水疱を認めた。苦悶状の顔貌で顔面蒼白,冷汗をともなっており,重篤な症状と考え,ただちに ICU 入室となった。qSOFA 2点,白血球 11,200/μl,CRP 30.11mg/dl,LINEC スコア6点。右手背の切開処置にて,多量の排液を認めた。症例2:60歳代,女性。左下腿の発赤,腫脹を主訴に当科夜診を受診した。蜂窩織炎と診断され,内服抗生剤の処方にて帰宅した。2日後当科外来受診時,白血球 13,900/μl,CRP 32.67mg/dl,LRINEC スコア6点。試験切開にて多量の排液を認めた。今回我々は,壊死性軟部組織感染症の2例を経験した。1例目は敗血症の新定義からのスクリーニングスコアである qSOFA が有用であると考えた。2例目は試験切開が感染の深達度の把握に有用であった。壊死性軟部組織感染症では早期の診断,外科的治療が予後を左右する。qSOFA,LINEC スコア,試験切開を用いて迅速に対応することが有用であると考えた。(皮膚の科学,16: 306-309, 2017)
  • 木岡 茉奈, 穀内 康人, 兪 明寿, 谷崎 英昭, 黒川 晃夫, 森脇 真一
    2017 年 16 巻 5 号 p. 310-314
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/06/15
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    40歳代,女性。初診の8ヶ月前より関節リウマチに対し,アバタセプトの投与が開始された。初診1ヶ月前に後頭部に皮疹が出現したため当科受診となった。初診時,後頭部や両手背に鱗屑,痂皮を伴う角化性紅斑が認められたため尋常性乾癬や乾癬型薬疹などを疑い後頭部の皮疹より生検した。病理組織学的には角層内の微小膿瘍を伴う錯角化や過角化,表皮突起の均一な延長がみられ,一部で顆粒層は消失していた。真皮乳頭層では毛細血管の拡張やリンパ球を主体とした炎症細胞浸潤が認められた。アバタセプト投与後に皮疹が生じ,外用治療にも増悪傾向を示し,投与中止後にようやく皮疹が改善したこと,乾癬様の臨床像,好酸球を伴う乾癬様の病理組織学的所見を示していたことより,本症例をアバタセプトによる乾癬型薬疹と診断した。アバタセプトはT細胞選択的共刺激調整作用を有する生物学的製剤であり,その安全性からおもに関節リウマチに対して多く使用されている。乾癬の治療薬である TNF-α 阻害薬の投与により乾癬を発症するパラドキシカル反応が知られているが,アバタセプトは抗原提示細胞とT細胞の共刺激を抑制するもので直接 TNF-α をブロックするものではないが,サイトカインの調節を行っており,間接的に TNF-α 阻害薬と似た作用が関与して乾癬様皮疹が生じたのではないかと推察した。本邦でのアバタセプトの使用の増加とともに,今後このような症例が増えることが予想され,注意が必要と考える。(皮膚の科学,16: 310-314, 2017)
  • 高野 紘子, 大塚 俊宏, 谷崎 英昭, 黒川 晃夫, 森脇 真一
    2017 年 16 巻 5 号 p. 315-321
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/06/15
    ジャーナル 認証あり
    症例1:30歳代,女性。約10年前,外傷を契機に右母趾に結節が出現した。頻回にハサミで除去していたが徐々に増大したため当科受診となった。初診時,右母趾後爪郭に,二頭性に突出する円筒状の隆起性病変が認められた。症例2:30歳代,女性。約5年前,右母趾に結節が出現した。近医にて外科的切除術が施行されるも再発したため当科受診となった。初診時,右母趾後爪郭に乳頭状の隆起性病変がみられた。症例1,2ともに,病理組織学的に,過角化を伴う表皮肥厚,真皮での膠原線維と毛細血管の増生がみられた。以上より,症例1,2とも後天性爪囲被角線維腫と診断した。本症の発生要因の詳細はいまだ明らかにはされていないが,微小な外傷や慢性的な外的刺激に伴う線維化の関与が指摘されている。自験例ではともに隆起の著しい特異な臨床像を呈しており,強い外的刺激や慢性刺激を受けていた。このことから,これらの症例において特異な臨床像が形成された一因として,強い外的刺激や慢性刺激の関与が示唆された。(皮膚の科学,16: 315-321, 2017)
  • 牛上 敢, 藤井 俊樹, 安澤 数史, 望月 隆, 塩谷 昌彦
    2017 年 16 巻 5 号 p. 322-327
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/06/15
    ジャーナル 認証あり
    60歳代,男性。C型肝硬変,肝細胞癌の既往がある。2ヶ月前より,左足に皮膚結節が出現し,徐々に増大した。同部位に外傷の既往はない。左足背内側に 20×16mm の淡紅色の半球状に隆起した境界明瞭な結節が1個存在する。結節は弾性軟で圧痛があり,下床と可動性があった。局所麻酔下に切除したところ,真皮から皮下にかけての境界明瞭な嚢腫様病変であり,嚢腫内には膿の貯留を認めた。膿の直接鏡検で菌糸様菌要素が認められた。病理組織像では,真皮から皮下に線維性被膜で覆われた嚢腫様構造を認めた。内腔は好中球からなる膿を含み,嚢腫壁は組織球,巨細胞を主体とした肉芽腫性組織であった。巨細胞内,膿瘍内に胞子連鎖様,菌糸様菌要素を認めた。膿汁の真菌培養で淡褐色から褐色のビロード状のコロニーの発育を認め,形態学的,分子生物学的に Phaeoacremonium parasiticum と同定した。切除3週後に,肝不全で永眠された。肝不全を背景に発症したと考えられた。(皮膚の科学,16: 322-327, 2017)
  • 田中 康之, 上原 慎司, 楠谷 尚, 野間 直樹, 米澤 栄里, 大迫 順子, 小澤 俊幸, 鶴田 大輔
    2017 年 16 巻 5 号 p. 328-336
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/06/15
    ジャーナル 認証あり
    症例1:70歳代,男性。症例2:40歳代,男性(症例1の次男)。両者ともに全身に多発する皮下腫瘤と指趾爪甲の leukonychia(白色爪)および koilonychia(匙状爪)が見られた。症例1では頭部,体幹,大腿より計6個の皮下腫瘤を切除し,病理組織学的所見より2個を trichilemmal cyst,4個を proliferating trichilemmal cyst と診断した。症例2では背部,前腕の計2個の皮下腫瘤を切除し,どちらも trichilemmal cyst の診断であった。Leukonychia と koilonychia を合併した多発性 trichilemmal cyst の家族例は極めて珍しく,常染色体優性遺伝形式をとり,これまでに本邦,海外併せて8家系が報告されている。この遺伝性疾患の発症機序や責任遺伝子は現時点では明らかになっていない。自験例はこの遺伝性疾患が4世代で常染色体優性遺伝した家族例であり非常にまれなものと考えた。(皮膚の科学,16: 328-336, 2017)
  • 寺井 沙也加, 植田 郁子, 久米 典子, 山﨑 文和, 神戸 直智, 滝 潤子, 岡本 祐之
    2017 年 16 巻 5 号 p. 337-342
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/06/15
    ジャーナル 認証あり
    関西医科大学皮膚科で2010年4月から2015年8月の6年間に経験したリポイド類壊死症5例を報告した。症例1は60歳代,女性。体幹部の尋常性白斑に対し,ステロイド外用治療中に,両下腿に褐色斑が出現してきた。ステロイド ODT で10ヶ月後に皮疹は軽快した。症例2は50歳代,女性。10年前より両下腿前面に皮疹を生じていた。Very strong クラスのステロイド外用で皮疹は半年でほぼ消退した。症例3は70歳代,女性。約6ヶ月前より両下腿に皮疹を生じた。Very strong クラスのステロイド外用は効果なく,NB-UVB 療法を併用し9ヶ月で皮疹は改善し,治療を終了しても皮疹は増悪しなかった。症例4は,70歳代,女性。15年前より前医で medium クラスのステロイドを外用していたが改善しなかった。NB-UVB 療法を開始したが効果なく,外用 PUVA 療法に変更したところ,4ヶ月で皮疹は軽快傾向を示し現在も加療中である。症例5は60歳代,女性。約4年前から近医で加療されていたが,小潰瘍が生じ皮疹も軽快しないため紹介受診した。Very strong クラスのステロイド外用で軽快し潰瘍も上皮化したが,外傷後に自己で不適切処置を行っていたため再度潰瘍が生じ,入院安静と抗菌薬治療で改善した。自験例において糖尿病の合併例は1例で,その他の発症誘因となる明らかな基礎疾患はなかった。合併することが報告されている皮膚潰瘍は1例でみられた。通常,本症の治療には難渋することが多いが,発症初期から治療を開始することが大切であると思われた。また,ステロイド外用と紫外線療法や,循環障害の改善方策を組み合わせて行うことが望ましいと考える。(皮膚の科学,16: 337-342, 2017)
  • 合田 遥香, 水野 可魚, Nguyen Thi Hong Chuyen, 尾崎 吉郎, 岡本 祐之
    2017 年 16 巻 5 号 p. 343-346
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/06/15
    ジャーナル 認証あり
    サルコイドーシスは,皮膚,肺,眼などを侵す全身性肉芽腫性疾患である。発見動機は様々であるが,今回,不明熱が続き,皮膚病変からサルコイドーシスの診断に至った症例を経験した。50歳代,女性。当院内科受診の1ヶ月以上前から発熱があり,感染症や膠原病,sIL-2R 上昇とリンパ節腫脹から悪性リンパ腫が疑われた。4ヶ月後,血管内悪性リンパ腫の除外診断のため,ランダム皮膚生検目的で当科を受診した。背部と大腿に痒みを伴う,粟粒大の紅色丘疹が散在していた。左大腿部の丘疹からの皮膚生検で非乾酪壊死性類上皮細胞肉芽腫を認め,サルコイドーシスと診断した。20mg/日よりプレドニン内服加療を開始し速やかに症状は消失し,sIL-2R 値も低下した。発熱を伴うサルコイドーシスは稀であるが,不明熱の症例では,皮疹を詳細に観察しサルコイドーシスを鑑別の1つに挙げることが重要である。(皮膚の科学,16: 343-346, 2017)
使用試験
  • 上田 早智江, 須摩 茜, 田村 亮, 片岡 潔, 杉山 義宣, 水谷 仁, 高木 豊
    2017 年 16 巻 5 号 p. 347-355
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/06/15
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    背景:クロロゲン酸(chlorogenic acids)を主成分とするコーヒーポリフェノール(Coffee Polyphenols,CPPs)の継続摂取には,抗腫瘍,抗酸化,高血圧改善,脂肪消費促進作用等の生体における効果が報告されている。さらに近年,顔面や手の皮膚の角層水分量増加および鱗屑改善効果も見出されている。目的:CPPs の継続経口摂取による顔面,下肢皮膚の角層機能への影響を明らかにする。さらに,ストレス症状への影響についても検討する。方法:健常成人女性108名を対象とし,CPPs 配合飲料(クロロゲン酸 300mg/100ml/day)の効果を CPPs 無配合(プラセボ)飲料を対照として8週間継続摂取するランダム化二重盲検並行群間比較試験により検討した。皮膚性状,血流調節機能の計測,および主観評価に基づく皮膚性状の変化・ストレス症状の評価を行った。結果:8週間の摂取試験後,CPPs 配合飲料摂取群では,プラセボ飲料摂取群と比べ,顔面および下肢の角層水分量の増加,テープ剥離後の水分蒸散量増加の抑制が認められると共に,ストレス症状の改善が認められた。結論:これらの結果から,CPPs の継続摂取により全身の皮膚の乾燥の改善が期待されると共に,ストレス症状の低減が示唆された。(皮膚の科学,16: 347-355, 2017)
  • 川島 眞, 橋本 晋, 大橋 実可子, 常深 祐一郎, 海老原 全
    2017 年 16 巻 5 号 p. 356-365
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/06/15
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    目的:ヘパリン類似物質フォーム(以下,フォーム)の皮脂欠乏症患者における有効性および安全性を確認するため,ヘパリン類似物質ソフト軟膏(ヒルドイド®ソフト軟膏0.3%,以下,ソフト軟膏)からフォームへの切り替えを想定した試験デザインで,有効性および安全性を評価するとともに両製剤の使用感を調査した。方法:非対照,非盲検,多施設共同で,皮脂欠乏症患者にソフト軟膏を2週間塗布した後フォームを2週間塗布した。有効性は,ソフト軟膏の塗布終了時の治療効果がフォームに切り替えた後も維持されたか否かで総合的に判定した。また,皮膚所見スコアの経時推移も確認した。安全性は有害事象および臨床検査値で確認し,試験薬の使用感は患者アンケートで調査した。結果:60例が試験に組み入れられ,全例が試験薬を投与され試験を完了した。ソフト軟膏を2週間塗布した後の治療効果は,フォームへ切り替えた後もデータ欠測の1例を除き全例で維持された。皮膚所見スコアは経時的に改善した。フォーム切り替え後に有害事象の発現割合は増加せず,臨床検査値への影響もなかった。患者アンケートでは,フォームは展延性に優れ,べたつきの少ない製剤であることが示唆された。結論:フォームの有効性が確認され,安全性に問題はみられなかった。患者アンケートでは,塗り広げやすくべたつきの少ない保湿剤を求める患者にとってフォームが新たな剤形選択の一つとなる可能性が示唆された。(皮膚の科学,16: 356-365, 2017)
  • 川島 眞, 本多 宣子, 大橋 実可子, 武士 仁彦
    2017 年 16 巻 5 号 p. 366-371
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/06/15
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    目的:健康成人を対象にヘパリン類似物質フォームの皮膚安全性を48時間密封パッチテストおよび光パッチテストで評価した。方法:ヘパリン類似物質フォーム,プラセボを入れたチャンバーまたは空チャンバーを被験者の上背部にランダムに貼付した。皮膚安全性は48時間密封パッチテストおよび光パッチテストで評価した。試験薬貼付部位以外の安全性は,有害事象,臨床検査値,バイタルサインで評価した。結果:30例が試験に組み入れられ全例が試験を完了した。皮膚刺激指数はヘパリン類似物質フォームおよびプラセボともに 3.3 で安全品であった。光パッチテストでは,1例でヘパリン類似物質フォームおよびプラセボの両部位に光接触蕁麻疹反応を認めたが,臨床上問題となるような所見ではなかった。UV 照射48時間後には6例でヘパリン類似物質フォーム貼付部位にわずかに強い反応を認め,このうち5例はプラセボも同等の反応であり,基剤成分による軽度光毒性か光アレルギー性かは不明だが,光過敏性の存在は否定できなかった。有害事象はいずれも試験薬との因果関係が否定され,臨床検査値,バイタルサインへの影響はみられなかった。結論:ヘパリン類似物質フォームの皮膚刺激性は低く忍容性があり,臨床上大きな問題となるような光照射による皮膚反応は認められなかったことから,皮膚安全性に問題は少ないと考えた。ただし,実臨床の場で光過敏性に若干の注意を払う必要があると思われた。(皮膚の科学,16: 366-371, 2017)
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