48歳男性。小児期よりアトピー性皮膚炎で皮膚科を受診していたが,20歳代になると無加療で症状が安定していた。30歳代になり躯幹・四肢に瘙痒のない赤褐色丘疹が出現し35歳で受診した。アトピー性皮膚炎としてベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル軟膏やクロベタゾールプロピオン酸エステル軟膏で治療されていたが,改善と再発を繰り返していたため,通院開始から13年後に背部の赤褐色丘疹から生検をおこなった。組織では真皮浅層にリンパ球が中心であるものの多数の形質細胞浸潤を認めたが,花筵状の線維化や閉塞性静脈炎は認めなかった。M蛋白やベンス・ジョーンズ蛋白(BJP)は陰性で組織での軽鎖制限はなかった。血清 IgG4 は 185 mg/dl と上昇していた。免疫組織化学染色では IgG4/IgG が 0.4∼0.6 であり IgG4 陽性形質細胞の絶対数は 40/HPF だった。臨床所見と病理組織学的所見からは皮膚形質細胞増多症と偽リンパ腫,IgG4 関連疾患が鑑別に挙がった。 自験例は IgG4 関連疾患の特徴を有しているものの IgG4 関連疾患の国際的な病理コンセンサスの基準は満たさなかった。皮膚に関する病理コンセンサスの根拠には疑問点があり,IgG4 関連皮膚疾患の診断については種々の議論がある。近年,皮膚形質細胞増多症や偽リンパ腫と IgG4 関連疾患の関連が指摘されており,IgG4 関連皮膚疾患の疾患概念の確立が望まれる。 (皮膚の科学,21 : 133-137, 2022)