2022 年 21 巻 3 号 p. 170-174
84歳男性。 2 型糖尿病に対して,初診の約 1 年前より,DPP-4 阻害薬テネリグリプチンを内服していたが, 1 ヶ月前から出現した全身の水疱を主訴に受診した。体幹に母指頭大までの痂皮やびらん,左上腕に米粒大の水疱,血疱が散在しており,臨床経過,皮膚生検所見,血清学的検査所見からDPP-4 阻害薬関連水疱性類天疱瘡と診断した。テネリグリプチンの中止のみで皮疹は一旦寛解したが,再燃した。再燃時には,当初は陰性だった抗 BP180NC16a 抗体が陽性となり,ステロイド投与が必要であった。DPP-4 阻害薬関連水疱性類天疱瘡は一般に,軽症例が多いとされているが,本例では中止後にエピトープ拡大が起こった可能性があり,一旦軽快した後も重篤化や難治化し得ることを認識する必要がある。 (皮膚の科学,21 : 170-174, 2022)