皮膚の科学
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症例
アパルタミドによる薬疹の 1 例
足立 英理子桒井 匠猪上 奈奈野村 尚史中島 沙恵子石川 牧子浅田 秀夫松井 美萌椛島 健治
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2022 年 21 巻 3 号 p. 212-218

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抄録

79歳,男性。当科初診 3 ヶ月前に多発骨転移とリンパ節転移を伴う前立腺癌と診断された。当科初診 1 ヶ月前よりアパルタミドと沈降炭酸カルシウム/コレカルシフェロール/炭酸マグネシウム配合錠の内服と,デノスマブの投与が開始された。当科初診 1 週間前より下肢に紅斑が出現し,徐々に体幹に拡大したため当科を紹介受診した。アパルタミドによる薬疹と考え,アパルタミドを減量し,オロパタジン塩酸塩の内服とステロイド外用を開始したが,その 1 週間後も皮疹が拡大した。アパルタミドを休薬し,プレドニゾロン 15 mg の内服を開始したところ皮疹は 3 週間で消褪した。アパルタミドに対する薬剤添加リンパ球刺激試験は陰性であった。アパルタミドは皮疹を高率に生じる薬剤であり,稀に重症薬疹を発症する。薬疹の発症機序は不明である。重症化症例を早期に発見する上で,皮膚科医の役割が重要である。 (皮膚の科学,21 : 212-218, 2022)

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© 2022 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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