2023 年 22 巻 3 号 p. 202-207
76歳,男性。半年前より背部に小豆大の黒色結節が出現し,除々に拡大傾向であった。前医で悪性黒色腫を疑われ当科に紹介され受診した。全切除生検を施行し悪性黒色腫と診断した。術前のリンパシンチグラフィーでは腋窩と左肩甲骨外側周囲に RI の集積を認めた。術中に試行した ICG 蛍光法,色素法でも同様にリンパ流が確認され,腋窩と左肩甲骨外側部にセンチネルリンパ節を同定した。病理組織検査の結果,肩甲骨外側部にもリンパ濾胞と浸潤する異型メラノサイトを認め,interval node への転移と考えた。腋窩のリンパ節には転移は認めなかった。術後補助療法としてニボルマブ投与後に領域リンパ節への転移が確認された。左腋窩リンパ節郭清術を行ったところ17個中 2 個に転移を認めた。Interval node とは所属リンパ節と原発巣の間にあるリンパ管に沿って存在するリンパ節を指す。interval node への転移の頻度は所属リンパ節への転移の頻度と同程度と報告されている。 また所属リンパ節に転移を認めず,interval node のみに転移を認める場合もある。Interval node の存在を認識し,センチネルリンパ節として同定された場合には病理組織学的な検討が必要である。 (皮膚の科学,22 : 202-207, 2023)