皮膚の科学
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症例
リツキシマブ投与によりプレドニゾロン早期減量に成功した水疱性類天疱瘡の 1 例
北尾 陸将小倉 香奈子塩入 桃子長尾 愛望月 亮佐田井 志正長野 徹
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2023 年 22 巻 4 号 p. 286-291

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抄録

80歳,男性。併存疾患に尿路上皮癌, 2 型糖尿病,慢性腎不全あり。全身性の瘙痒を伴う緊満性水疱を主訴に当院を受診した。病理学的組織検査,蛍光抗体法,抗 BP180 抗体陽性により水疱性類天疱瘡(BP)と確定診断した。皮疹の重症度分類が重症であったため,ステロイドパルス療法を施行後,プレドニゾロン(PSL60 mg/日の内服を開始した。また,担癌患者で免疫抑制薬使用が敬遠され,社会的背景からも PSL の早期減量が望ましく,血漿交換療法を施行した後,リツキシマブの投与を行った。その結果,抗 BP180 抗体価は低下し,皮疹も改善を認め,PSL を早期に減量し自宅退院が可能となった。BP は高齢者に好発し,ステロイド全身投与の副作用や,独居・認知症といった社会的問題に悩むケースは多い。リツキシマブは現在 BP には保険適用ではないものの,前述の社会的問題や薬剤制限がある症例や難治例には有効な可能性があり,今後も使用を検討すべきと考えた。 (皮膚の科学,22 : 286-291, 2023)

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© 2023 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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