皮膚の科学
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症例
古典型 Kaposi 肉腫の 1 例
宮脇 佳代中嶋 千紗臼居 駿也小澤 健太郎調 裕次大塚 篤司
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2023 年 22 巻 4 号 p. 292-297

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抄録

80歳,男性。X-3年,両下肢・足底に有痛性色素斑が出現し,X-2年に他院にて両下肢古典型Kaposi 肉腫と診断された。初診の 7 日前から前医にて右下肢蜂窩織炎に対し抗生剤内服で加療されていたが,症状の改善に乏しく X Y 月当院紹介となった。また両下肢古典型 Kaposi 肉腫についても当院での精査加療を患者が希望した。初診時,蜂窩織炎の所見に加えて両側下腿に一部浸潤を触れる灰褐色斑,足底に暗赤色斑を認めた。病理組織学的検査では,真皮内に好塩基性の腫瘍細胞が結節状に増殖し,周囲に脈管の増生を伴っていた。免疫組織学的に腫瘍細胞は HHV-8 陽性であった。 HIV 感染や免疫抑制剤の使用歴はなく古典型 Kaposi 肉腫と診断した。古典型 Kaposi 肉腫の治療方法に放射線治療やイミキモド外用,化学療法など様々なものが存在するが,明確なガイドライン等はない。古典型 Kaposi 肉腫は緩徐に進行する点や患者背景を考慮し治療方法を選択する必要がある。 (皮膚の科学,22 : 292-297, 2023)

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© 2023 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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