皮膚の科学
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症例
200匹以上のタカサゴキララマダニ幼虫に寄生されたマダニ刺症の1例
石田 勝英塩入 有子石坂 泰三岩崎 博道藤田 博己高田 伸弘
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2004 年 3 巻 1 号 p. 55-61

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抄録

症例は88歳,女性。約2日前に自宅近くの草むらに入り,全身を多数のマダニに咬着され,平成15年5月19日に当科を受診した。当科で229匹の虫体を摘除したが,すでに脱落した虫体も含めるとさらに多くの寄生を受けていたものと思われた。虫体はタカサゴキララマダニ幼虫と同定された。塩酸ミノサイクリンを予防投与したが虫体摘除2日後に発熱・全身関節痛・両腋窩リンパ節腫脹などの全身症状が出現した。塩酸ミノサイクリンは効果がなく中止し,多種の抗生剤を用いてようやく症状は軽快した。日本系および欧州系紅斑熱やライム病など,およそマダニが媒介し得るだけの各種感染症の血清抗体検査では陰性だった。全身症状の明らかな原因は特定できなかった。

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© 2004 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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