皮膚の科学
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症例
高チロシン血症II型(Richner-Hanhart Syndrome)の1例
小澤 健太郎酒井 規夫横見 明典乾 重樹板見 智
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2004 年 3 巻 3 号 p. 275-278

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抄録

1歳6ヵ月女児。生後3ヵ月頃より,多量の流涙を伴う角膜炎により眼科通院中であった。初診の約2週間前から両足底に有痛性の角化性皮疹が出現し,痛みのために歩行不能となったため当科を受診した。初診時,両側の足底,趾腹に対称性に角化性局面を認め,手指にもわずかながら角化性局面を生じていた。皮疹及び眼症状より高チロシン血症を疑い,血中アミノ酸分析を行ったところ,チロシンの異常高値を示したため,高チロシン血症II型と診断した。チロシン制限ミルク,チロシン制限食開始後3日目には流涙は停止した。約2週間後には足底の皮疹も改善し,歩行可能となった。現在も低チロシン食を継続し,経過観察中であるが,皮疹の再燃は認めない。

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© 2004 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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