皮膚の科学
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3 巻, 3 号
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カラーライブラリー
研究
症例
  • 小田 香織, 橋本 佳子, 磯貝 理恵子, 荒金 兆典, 川田 暁, 手塚 正
    2004 年 3 巻 3 号 p. 271-274
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/07/13
    ジャーナル 認証あり
    20歳女性。歯科にて2回目の根管治療を受けた4~5時間後,顔面に膨疹が出現した。3回目の治療を受けた2時間後に全身に膨疹,熱感,痒みが出現し,全身倦怠感,灼熱感を伴っていた。根管治療に用いられたホルムアルデヒドとグアヤコールについてプリックテストとパッチテストを行った。ホルムアルデヒドの1%,5%水溶液のプリックテストで即時型反応陽性で,ホルマリン特異的IgE抗体の上昇も認められた。以上より自験例を歯根管治療に使用されたホルムアルデヒドによる蕁麻疹と診断した。ホルムアルデヒドによるI型アレルギーは比較的まれであり,全身症状を伴うことがあるので注意が必要と思われた。
  • 小澤 健太郎, 酒井 規夫, 横見 明典, 乾 重樹, 板見 智
    2004 年 3 巻 3 号 p. 275-278
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/07/13
    ジャーナル 認証あり
    1歳6ヵ月女児。生後3ヵ月頃より,多量の流涙を伴う角膜炎により眼科通院中であった。初診の約2週間前から両足底に有痛性の角化性皮疹が出現し,痛みのために歩行不能となったため当科を受診した。初診時,両側の足底,趾腹に対称性に角化性局面を認め,手指にもわずかながら角化性局面を生じていた。皮疹及び眼症状より高チロシン血症を疑い,血中アミノ酸分析を行ったところ,チロシンの異常高値を示したため,高チロシン血症II型と診断した。チロシン制限ミルク,チロシン制限食開始後3日目には流涙は停止した。約2週間後には足底の皮疹も改善し,歩行可能となった。現在も低チロシン食を継続し,経過観察中であるが,皮疹の再燃は認めない。
  • 竹田 公信, 望月 隆, 柳原 誠, 石崎 宏
    2004 年 3 巻 3 号 p. 279-282
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/07/13
    ジャーナル 認証あり
    症例は7歳,女児。正常分娩で出生。その後,小葉胆管減少,特徴的顔貌,眼科的異常,先天性心疾患を指摘されAlagille症候群(不完全型)と診断された。2歳頃から軽いそう痒が躯幹に出現し,7歳時より増強したため当科を受診した。皮膚所見として特徴的な顔貌の他に,全身皮膚に乾燥,両下腿に鱗屑,両足関節部位,アキレス腱部位に肥厚,両上腕に毛孔性苔癬を認めた。足背の病理組織像では著明な角質層の肥厚と軽度の顆粒層の肥厚が見られた。
  • 上田 亜紀子, 南 徹, 上津 桂子, 草壁 秀成, 清金 公裕
    2004 年 3 巻 3 号 p. 283-287
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/07/13
    ジャーナル 認証あり
    53歳,女性。インプラント治療を受けるため予防的に抗生剤等を内服した後,背部にそう痒が生じ掻破していたところ,紅色丘疹が出現した。近医皮膚科を受診しステロイド剤の内服と外用による治療を開始されたが症状の改善を認めないため当科を紹介された。初診時,背部から腰部にかけて中央に褐色の薄膜や痂皮を有する紅色丘疹が多発していた。病理組織像では表皮は欠損しており,その中に不全角化物質,好塩基性物質,膠原線維よりなる角栓を有し,下床には好中球の浸潤を認めた。また真皮より角栓内への多数の膠原線維の排出像を呈していた。以上よりacquired reactive perforating collagenosis (ARPC)と診断した。本症では慢性腎不全や糖尿病などそう痒を伴う基礎疾患が存在することが多いが,自験例では基礎疾患が認められなかった。成因として薬剤の関与が疑われたが,内服誘発テストは陰性であったためなお成因は不明である。
  • 種村 篤, 小澤 真紀, 樽谷 勝仁, 西田 俊朗, 板見 智, 吉川 邦彦
    2004 年 3 巻 3 号 p. 288-292
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/07/13
    ジャーナル 認証あり
    65歳男性。幼少時よりカフェオレ斑が出現,24歳頃から全身に軟性腫瘤が多発し神経線維腫症I型と診断,平成13年夏頃から上腹部の腫瘤が急速に増大し圧痛を伴うようになってきたため平成14年8月当科受診。腫瘤は径10×8×8cm弾性硬の懸垂性腫瘤であった。病理組織学的に腫瘍中心部は核異型を持った不均一な腫瘍細胞が錯綜配列を呈して密に増殖し,核分裂像も散見され,腫瘍中心部はS-100蛋白・Neuron specific enolase(NSE)染色にて全て陰性であった。以上の所見よりNFIに発生したMalignant Schwannomaと診断した。また腹部CTにて十二指腸原発の消化管間質腫瘍(gastrointestinal stromal tumor,以下GIST)の合併も認めた。
  • 上田 亜紀子, 南 徹, 草壁 秀成, 清金 公裕
    2004 年 3 巻 3 号 p. 293-296
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/07/13
    ジャーナル 認証あり
    46歳,女性。1995年頃より恥骨部に腫瘤を指摘されていた。徐々に腫瘤が増大してきたため2003年6月12日,当科紹介受診した。初診時,恥骨部正中左側に2×1.5 cm大の表面疣状で弾性硬の皮膚面よりやや隆起し下床とは可動性で皮膚色の腫瘤が存在した。病理組織像では真皮全層に膠原線維間に索状あるいは小胞巣状に腫瘍細胞が増殖しており,腫瘍細胞は大型の胞体内に淡くエオジンに染まる顆粒が充満しており,小型で類円形の核を有していた。腫瘍内の顆粒はジアスターゼ抵抗性PAS,S-100蛋白,neuron-specific enolase,vimentin陽性であった。以上より顆粒細胞腫と診断した。
  • 正木 太朗, 中村 敦子, 谷 昌寛
    2004 年 3 巻 3 号 p. 297-301
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/07/13
    ジャーナル 認証あり
    36歳女性の,右鼻翼にみられた紅褐色無症候性の小結節を切除し,病理組織学的に検索した。真皮にヒアリン化した膠原線維が渦巻き状あるいは層板状に配列し,ヒアリン化した膠原線維束間には裂隙形成を認め,ムチンの沈着も認めた。さらにヒアリン化した膠原線維間には,多形性を示す紡錘形ないし星形の細胞や多核巨細胞も多く認められ,pleomorphic sclerotic fibroma(PSF)と診断した。PSF,sclerotic fibroma,pleomorphic fibromaの3疾患は同一のスペクトラム上の疾患であると考えられ,又さらに,多くの腫瘍細胞において増殖関連蛋白であるPCNAが免疫組織化学的に陽性であったことから,これらの3疾患を包含した概念としてのPSFは,増殖能を有する独立した一疾患であるとするのが妥当であると考えた。
  • 野本 浩生, 諸橋 正昭
    2004 年 3 巻 3 号 p. 302-305
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/07/13
    ジャーナル 認証あり
    腎細胞癌の皮膚転移の1例を報告した。患者は63歳,男性。左鼻翼の血管拡張性肉芽腫様の小結節にて初診した。病理組織学的に増殖している腫瘍細胞は胞体が明るく大型で,間質は血管に富んでいた。腹部CTと合わせて腎細胞癌の皮膚転移と診断した。原発巣は手術不能であったためIFN-α及び皮膚転移巣の切除にて加療中であったが,不慮の事故で死亡された。事故の原因としてIFN-αの副作用及び顔面の多発性の転移巣による精神的苦痛も示唆された。
使用試験
  • 高木 肇, 前田 学, 米田 和史, 清島 眞理子, 神谷 秀喜, 山田 孝宏, 松岡 百合子, 加納 宏行, 北島 康雄
    2004 年 3 巻 3 号 p. 306-315
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/07/13
    ジャーナル 認証あり
    小児におけるアトピー性皮膚炎や乾皮症等に起因する皮膚乾燥症状を対象にセラミド3含有保湿化粧品Locobase® REPAIRの安全性および有用性を検討した。1)安全性解析対象98症例,有用性解析対象86症例。2)皮膚症状の改善度は,「軽度改善」以上89.2%,「中等度改善」以上53.0%。乾燥,鱗屑,そう痒の中等度改善率が高かった。3)有害事象は接触皮膚炎,刺激感などを6例に認めた。1例はステロイド剤の外用により回復し,5例は処置を施すことなく回復・軽快した。これらの結果から,本剤の1日1~2回外用は,アトピー性皮膚炎や乾皮症等に起因する乾燥症状に対して有用で,安全に適用可能な保湿クリームであることが示された。
  • 大谷 稔男, 金内 日出男, 石井 崇子, 辻岡 馨, 古川 福実
    2004 年 3 巻 3 号 p. 316-321
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/07/13
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    近年,顔面・頚部への外用療法としてタクロリムス軟膏が新しい選択肢となったが,これまでに抗アレルギー薬によるタクロリムス軟膏の減量維持効果に関する報告はみられない。今回我々は,抗アレルギー薬がタクロリムス軟膏の減量維持効果を示すかどうかについて顔面の皮疹を有するアトピー性皮膚炎患者を対象に検討した。導入期間として顔面・頸部の皮疹に対してタクロリムス軟膏を1日1回単純塗布し,無作為にセチリジン10mgまたはエピナスチン20mg1日1回の経口投与をおこなった。2~3週間後に顔面・頸部の皮疹が改善した患者のタクロリムス軟膏塗布を2日に1回に減量し,セチリジン,エピナスチン,ビタミンB2製剤投与群に無作為に割り付け,2週間毎に皮疹およびそう痒の程度を観察した。セチリジン投与群はビタミンB2製剤投与群に比べ,タクロリムス軟膏を減量しても顔面・頸部の皮疹およびそう痒に対する効果が維持できることが証明された。
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