抄録
アトピー性皮膚炎(AD)は種々の増悪要因が複雑に絡み合った多因子疾患である。食物も増悪因子の1つとして認知されるようになった。筆者ら食物の体内への侵入ルートとして経口摂取以外に皮膚への接触もありうると推測している。年齢が大きくなると食物アレルギーが関与するADは減少する。また,ADが重症程食物アレルギーの関与する頻度が高いとされている。食物アレルギーが関与したADの治療の基本は原因食物の除去である。除去食は患者とその家族に栄養学的障害,精神的・時間的・経済的負担をかける恐れがある。正確な原因食物の同定によって除去すべき食物を最小限にすることが大切である。