抄録
11歳,男児。2004年1月上旬より発熱を伴う頸部リンパ節腫脹がみられ,近医小児科でセフポドキシムプロキセチルを投与されたが軽快せず,さらには白血球減少,肝機能障害が続くため,当院小児科を紹介受診した。クラリスロマイシン,塩酸ミノマイシンを投与されたが,発熱は一旦軽快するもののリンパ節腫脹は継続した。3月上旬より頬部に自覚症状を伴わない皮膚病変が出現したため,当科を受診した。同部に多形紅斑様の小豆大類円形紅斑を認めたことから,SLEなどを鑑別すべく血液検査を実施したが膠原病を示唆する所見は得られなかった。以上の臨床経過と,頸部リンパ節生検で濾胞構造の破壊,核塵を貪食した組織球のび漫性浸潤と巣状壊死を認めたことから,組織球性壊死性リンパ節炎(菊池病)と診断した。