2005 年 4 巻 3 号 p. 244-248
64歳,女性。合併症として橋本病があり,平成14年3月より両手掌に鱗屑を伴う紅斑が出現した。尋常性乾癬と診断されエトレトナート内服,マキサカシトール軟膏の外用を開始したが,皮疹は拡大し、5月末には頭部に脱毛斑が出現した為,当科を受診した。入院の上,PUVA療法を開始し,内服PUVA療法を計28回,計130.5J/cm2照射し,終了時には乾癬,円形脱毛症ともに略治状態となった。尋常性乾癬の病態形成にT細胞性自己免疫が関与することが注目されており,他の自己免疫疾患との合併例が報告されている。本症例は橋本病と円形脱毛症を合併しており,異なる自己抗原に対する細胞性免疫が惹起された結果,3疾患を発症した可能性が考えられた。