皮膚の科学
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症例
多発性皮膚骨腫を伴った偽性副甲状腺機能低下症の1例
種村 篤乾 重樹長澤 智彦板見 智片山 一朗飯沼 義博細川 亙谷村 朗三浦 温子沖田 考平宮川 潤一郎
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2005 年 4 巻 6 号 p. 548-553

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抄録

27歳女性に生じた多発性皮膚骨腫の1例を報告した。8歳時より偽性副甲状腺機能低下症I型を指摘され,Albright’s hereditary osteodystrophy(AHO)に特徴的とされる,低身長,円形顔貌,肥満,歯牙形成不全,およびX線で石灰化を示す多数の皮膚皮下骨腫といった身体所見を呈した。さらに自己抗体の出現しない甲状腺機能低下症も伴っていた。近年細胞内cAMPの調節に重要なG蛋白の一つであるG stimulating protein α(Gsα)の異常がこれらの発症に関与していることが報告されている。偽性副甲状腺機能低下症は特定難病疾患の一つで1998年の全国統計では患者数約430例と推計されているが,その中でも本症例はAHOを伴う典型例であり,Gsα蛋白の機能低下により異所性の皮膚骨化が促進された可能性が高く興味深い症例と考える。

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© 2005 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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