抄録
症例は84歳女性。初診の約3年前から口角部に淡褐色斑が出現し徐々に拡大,黒色化し,1年前からは急速に拡大して上口唇の一部に黒色腫瘤を形成した。生検の結果悪性黒色腫と診断。患者は術後の醜形と開口制限による不便を理由に手術を拒否した。DAVFeron療法1クール施行後に血小板減少が遷延し,以後はインターフェロン-β局注のみで経過を見ることとなった。局注により褐色ないし黒色斑は著明な消退を続けたので患者は希望を取り戻し,結節部のみの切除であればよいと了承され,我々は切除縫合術を施行した。その後色素斑はほぼ消失し,現在の患者,家人の満足度は高い。初診時からの定期的全身検索で転移は確認されていない。