抄録
81歳,女性。初診約1ヵ月前より,右下腿の結節に気づいた。結節は徐々に増大し,近位側に皮下結節も出現してきた。初診時右下腿に15×9mmの暗赤色結節とその近位側に10×8mmの皮下結節を認めた。同部位への外傷の既往はない。病理組織検査では真皮中層から脂肪織にかけて類上皮細胞肉芽腫の存在を認め,Ziehl-Neelsen染色では紅色に染色される多数の短桿菌を認めた。生検組織の抗酸菌培養を行いDNA-DNAハイブリダイゼーション法にてMycobacterium chelonaeと同定した。塩酸ミノサイクリンの投与にて12週後には色素沈着と鱗屑痂皮を残すのみとなった。自験例を含む本邦報告例44例について集計し考察した。