皮膚の科学
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症例
胸壁冷膿瘍の1例
西村 幸秀奈良 武史末廣 晃宏竹中 秀也加藤 則人岸本 三郎永田 一洋
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2006 年 5 巻 1 号 p. 15-18

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抄録
69歳,女性。約3年前に陳旧性腹部,肺及び胸膜結核を指摘され経過観察中であった。約10ヵ月前より微熱,右上胸背部痛が出現。胸部CTにて右第9肋骨周囲の胸腔内外に拡がる3×2cm大の腫瘤を指摘され,CTガイド下生検の結果,胸壁結核と診断された。抗結核剤3者併用療法を開始したが,内服5ヵ月後に5×3cm大と腫瘤の増大を認めたため当科を紹介された。右背部から側腹部に手掌大で熱感を伴わない波動を触れる皮下腫瘤を認めた。切開,排膿処置を施行。膿の抗酸菌培養は陰性,塗抹抗酸菌染色はZiehl-Neelsen染色で陽性,さらにPCR法でM.tuberculosisを検出した。連日の洗浄にて,約2週間後にはPCR法で陰性となり,約1ヵ月後には創は閉鎖した。現在までのところ,膿瘍の再発は認めていない。
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© 2006 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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