抄録
60歳女性。平成7年に右側腎癌と診断され,右腎摘出術を施行された。以降,左腎,肺,脳,膵と多臓器に転移が見られ,化学療法や放射線療法にて加療されていた。平成17年9月頃より頭部に出血性の腫瘤が出現し,12月に当科を初診。頭頂部に,約7mm,ドーム状の可動性良好な紅色腫瘤が認められた。局所麻酔下に腫瘤を摘出したところ,腫瘍細胞は,異型性が強い大小不同の核と明るく比較的大きな胞体を有し,腎癌の淡明細胞に類似していたため,腎癌の皮膚転移と診断した。以降も泌尿器科にて通院治療を継続していたが,皮膚転移発症確認より約10ヵ月後に死亡された。