2007 年 6 巻 4 号 p. 352-356
54歳女性。右下腹部痛を自覚し,当院外科にて回盲部腫瘤性病変を指摘された。右半結腸切除術を施行され,悪性リンパ腫(diffuse B-cell, Burkitt type)の診断を受けた。血液内科にて多剤併用化学療法を施行され寛解したが,数ヵ月後に胸腹部に多発性腫瘤が出現した。病理組織学的にBurkitt lymphomaの皮膚浸潤と診断された。腫瘤は手術創部とドレーン挿入部の瘢痕及びその周囲に配列し,外科的操作による腫瘍細胞の播種ないしは創部への浸潤が考えられた。本症患者への手術やカテーテル留置に際しては,局所播種を生じる可能性があることに留意すべきであると思われた。