皮膚の科学
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6 巻, 4 号
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カラーライブラリー
症例
  • 吉田 暁子, 二瓶 望, 小原 宏之, 矢口 均, 比留間 政太郎
    2007 年 6 巻 4 号 p. 349-351
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/12/06
    ジャーナル 認証あり
    63歳,男性。約5年前より左外眼角部に瘢痕様の皮下結節を自覚。掻破すると容易に出血を来たすようになったため当科を受診。初診時,左外眼角部に境界不明瞭で不整形な正常皮膚色の皮下結節を認め,2ヵ所の点状黒色色素斑を伴っていた。病理組織学的に真皮から皮下脂肪組織にかけて基底細胞類似の腫瘍細胞からなる腫瘍胞巣が多数見られた。また病変はnodular type,morpheic type ,fibroepithelial typeの3つの腫瘍構築で形成されていた。局所麻酔下にて全切除を行い,全層植皮術を施行した。今回我々は基底細胞癌のなかでも比較的稀な斑状強皮症型基底細胞癌の1例を経験したので報告する。
  • 山中 滋木, 爲政 大幾, 堀尾 武, 石崎 守彦, 川口 雄才, 横井 崇, 中井 邦久, 植村 芳子
    2007 年 6 巻 4 号 p. 352-356
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/12/06
    ジャーナル 認証あり
    54歳女性。右下腹部痛を自覚し,当院外科にて回盲部腫瘤性病変を指摘された。右半結腸切除術を施行され,悪性リンパ腫(diffuse B-cell, Burkitt type)の診断を受けた。血液内科にて多剤併用化学療法を施行され寛解したが,数ヵ月後に胸腹部に多発性腫瘤が出現した。病理組織学的にBurkitt lymphomaの皮膚浸潤と診断された。腫瘤は手術創部とドレーン挿入部の瘢痕及びその周囲に配列し,外科的操作による腫瘍細胞の播種ないしは創部への浸潤が考えられた。本症患者への手術やカテーテル留置に際しては,局所播種を生じる可能性があることに留意すべきであると思われた。
  • 菊池 麻衣子, 矢島 智子, 大畑 千佳, 足立 史朗
    2007 年 6 巻 4 号 p. 357-363
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/12/06
    ジャーナル 認証あり
    63歳,女性。初診の2年前から背部に結節が生じ,近医にてケロイドと診断されステロイド局注を受け,一度縮小した。2年後,同部位に紅斑,結節が再発したため当科を受診した。初診時,5.0×3.5cmの浸潤性紅斑が背部にみられ,紅斑内に結節を有していた。生検組織にて真皮上層にび慢性リンパ球浸潤と真皮中層に濾胞形成がみられた。免疫染色にて濾胞部は,CD20,Bcl-2が陽性,CD10,Bcl-6が一部陽性であり,CD3,CD5は陰性であった。免疫グロブリン遺伝子H鎖にて再構成がみられた。全身検索にてリンパ節腫脹,他臓器所見はなく,Primary cutaneous follicle center lymphomaと診断した。治療は,皮疹の境界が比較的明瞭で,切除縫縮可能な大きさであったため,外科的切除を施行した。術後約11ヵ月経過するが,再発していない。
  • 武井 怜子, 吉田 有紀, 前川 直輝, 國行 秀一, 鈴木 伸典, 坂本 亘
    2007 年 6 巻 4 号 p. 364-367
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/12/06
    ジャーナル 認証あり
    53歳,男性。19歳時,十二指腸潰瘍による穿孔にて胃切除をうけた。初診2ヵ月前より右鼠径部の皮下硬結および陰嚢腫大が出現した。陰嚢部皮膚生検にて,皮下組織部(薄い平滑筋層の肉様膜内)に異型細胞の浸潤と周辺部に膠原線維の増生を認めた。全身検索の結果,残胃に印鑑細胞を含む低分化型腺癌が確認され,さらに腹膜播種,リンパ節転移,精巣周囲・精索への浸潤も認めた。残胃癌の全身転移と診断され,化学療法を開始したが,皮膚症状出現より約7ヵ月後に全身状態の悪化により永眠された。
  • 渡部 昌利, 吉田 有紀, 前川 直輝, 國行 秀一, 鈴木 伸典
    2007 年 6 巻 4 号 p. 368-371
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/12/06
    ジャーナル 認証あり
    79歳,女性。2002年に胃癌摘出を受けたが,病理組織学的にリンパ節転移を認めていた。2006年7月頃より左前胸部と左上腕の腫脹を自覚し,8月頃より左前胸部に紅斑が出現した。10月胸部CT検査にて癌性リンパ管症が疑われた。左前胸部の紅斑部分の生検を行ったところ,病理組織学的に拡張するリンパ管内に,明るい豊富な細胞質を有した核が偏在する印環細胞が認められ,印環細胞癌の皮膚転移と診断した。癌性リンパ管症の合併も疑われ,手術適応はなく緩和治療のみを行ったが,12月28日死亡された。
  • 藤井 弘子, 谷岡 未樹, 松村 由美, 宮地 良樹, 松原 雄
    2007 年 6 巻 4 号 p. 372-375
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/12/06
    ジャーナル 認証あり
    50歳代男性,腹膜透析中。顔面に散在する水疱を主訴に受診した。Tzanckテストで多核巨細胞が認められヘルペスウイルス感染症と診断した。皮疹の分布より散布疹を伴った帯状疱疹の可能性も高いと考えた。腎機能を勘案して,バルトレックス®(バラシクロビル)1000mg/日(通常の1/3量×7日間)を開始したところ,内服2日目の時点で浮動感,眠気の訴え,高血圧が出現した。腹膜透析を自力でできなくなり,当院救急外来を受診し,入院となった。腹膜透析継続にて精神神経症状は改善した。腎不全患者,透析患者のうち特に腹膜透析患者に外来でバラシクロビルを処方する場合にはクレアチニンクリアランスを考慮した投与量にすべきと考えた。
  • 西山 澄子, 鈴木 久美子, 滝内 石夫
    2007 年 6 巻 4 号 p. 376-381
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/12/06
    ジャーナル 認証あり
    81歳,女性。認知症にて施設入所中。結婚当時より手や頬に疣様皮疹があったが,初診の3ヵ月前より口唇に皮疹が生じ,急速に口唇全体に広がったという。上下口唇の赤唇部,粘膜部に顆粒状に紅色丘疹が密生。鼻背,左頬部,右下顎部には表面乳嘴状を呈する尋常性疣贅様丘疹が認められた。また乳暈部,外陰部,股部,臍周囲,両側腋窩には黒色表皮腫様局面がみられた。口唇部及び頬部の二箇所よりの生検組織について,ヒト乳頭腫ウイルスの型別検定を行い,両者ともHPV-31/33型と判明。約2週間のエトレチナートの内服にて皮疹は消退傾向を示したが,初診の5ヵ月後に死亡。
  • 藤原 美智子, 落合 宏司, 森脇 真一, 清金 公裕
    2007 年 6 巻 4 号 p. 382-386
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/12/06
    ジャーナル 認証あり
    15歳,女性。初診の6日前に飼いネコに右足背を咬まれた。近医を受診するも創は軽快せず,疼痛,圧痛,発赤,腫脹が出現し,穿通創から臭気を伴う滲出液を生じるようになったため,当科を紹介され入院となった。入院2日目,前医で施行された創部からの滲出液の細菌培養にてPasteurella multocidaが検出されパスツレラ感染症と診断した。同部位の単純X線では骨髄炎の所見は認めなかった。スルバクタム/アンピシリンの点滴後,塩酸ミノサイクリンおよびアモキシシリンの内服,創部の消毒と洗浄,軟膏処置にて入院19日後に軽快した。
  • 安間 安弥子, 馬場 俊一, 下島 博之, 照井 正, 川端 寛樹
    2007 年 6 巻 4 号 p. 387-391
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/12/06
    ジャーナル 認証あり
    アカコッコマダニは主に鳥類を宿主とするマダニであり,住宅地周辺での刺咬例が多い。本症例も現病歴より,東京都区内で刺されたことは明らかであった。症例は5歳,女児。頭部に2ヵ所,頸部左側に1ヵ所虫体が咬着していることを発見し,当院救急外来を受診。切除術施行後,アモキシシリンを1週間内服した。抗ライム病ボレリア抗体(B. burgdorferiB. gariniiB. afzelli)は陰性。同定できた虫体2体はアカコッコマダニ成虫雌であった。アカコッコマダニ複数咬着例の報告は本邦初である。
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