皮膚の科学
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症例
副乳から生じた乳癌の1例
酒井 利恵伊東 詩織政次 朝子太田 深雪新宅 雅幸露木 茂堀口 裕治
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キーワード: 乳癌, 副乳, ミルクライン
ジャーナル 認証あり

2008 年 7 巻 2 号 p. 213-216

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抄録

48歳,女性。半年前から右乳房下に赤褐色の結節が生じた。病理組織学的には真皮から皮下組織に異型性のある細胞が腺様の構造で増殖していた。転移癌と考えたが,全身精査で原発となる腫瘍は見いだされず,腫瘍から1cm離して切除した。腫瘍の下床に異型性のない乳線組織を認めたため,副乳から生じた乳癌と診断した。免疫組織化学的にエストロゲン受容体,プロゲステロン受容体,HER2(ヒトEGFR関連物質2)が陽性であった。拡大手術時のセンチネル生検が陽性であり,リンパ節郭清を行った。放射線療法後,化学療法中である。現在,局所再発はない。ミルクライン上の皮下腫瘍をみた場合は副乳から生じた乳癌も考える必要がある。

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© 2008 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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