アトピー性皮膚炎を近年アレルギー性と非アレルギー性の異なる機序により発症する症候群とする考え方が提示されている。前者は獲得型免疫がその主役をなすと考えられている。後者はToll-like receptorを介する自然免疫システムの変調やストレスなどの神経・精神因子,皮膚のバリア機能の異常など,本来生体が持つ恒常性の破綻が大きく関与していると考えられている。自律神経機能障害としての発汗異常,異常血管反応,痒み感覚の変調と皮膚炎発症,増悪との関連性が検討されており,アトピー性皮膚炎の治療に関しても皮膚のストレス応答を考えた治療方針が必要と考えられる。