アトピー性皮膚炎の増悪に関連するストレッサーについて日々の外来・入院診療,ならびに患者勉強会で明らかになった事項をまとめた。成人では職業上の悩みが多く,特に過重労働や過剰適応が挙げられる。小児では母親との関係が最も問題となる。個々の患者でストレッサーは異なるが,ストレッサーの確定や除去・緩和よりも,患者の思いを共感的,受容的態度で受け止め,そのつらさやご苦労を労うことが最も大切である。ストレッサーそのものは軽減されなくても,ストレスにより嗜癖的掻破に陥っていることに気づいてもらい,患者のストレスに対する対応に変容が起こるよう促しながら,根気よくつきあっていくことが肝要である。