皮膚の科学
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アトピー性皮膚炎に対する外来森田療法
細谷 律子
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2009 年 8 巻 Suppl.12 号 p. B636-B641

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抄録

森田療法は1919年に森田正馬により創案された精神療法で,神経症の治療として知られてきた。不安緊張の結果おこった症状や行為に対するとらわれの打破と,完全欲の強い生き方の修正をめざす。不安と表裏一体に存在する自己実現の欲求に着目し,“不安を感じながらも自分を生かしていく生き方”すなわち“あるがまま”を体得させていく。これらの治療行程は当初は入院により行われたが,近年は外来で行われることが多くなった(外来森田療法)。難治になった成人のアトピー性皮膚炎患者は,しばしば,受験などの現実の課題に直面し,不安から精神交互作用(注意と感覚の悪循環)が生じかゆみに敏感になり,あるいは掻破行動に逃避し強迫的に行ううち掻破行動にとらわれていることが少なくない。外来森田療法によりかゆみや掻破行動,さらにはアトピー性皮膚炎に対するとらわれが打破され,不安をもちながらも人生の課題に取り組み自分を生かしていくことに喜びを感じられるようになると,患者の皮膚症状はしばしばめざましく改善していく。

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© 2009 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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