抄録
63歳,男性。初診2008年6月9日。約10年前に左下腿後面に黒色の隆起性腫瘍を自覚した。約2年前より増大傾向が見られ,また出血性となったため当科を受診した。有茎性腫瘍の皮膚生検で基底細胞癌 (basal cell carcinoma: BCC),充実型と診断し,5mm のマージンをつけて全摘術を施行した。有茎性またはポリープ状の臨床像を示し,病理組織像が結節潰瘍型 BCC に見られる充実型の増殖があるものを Megahed はポリープ様 BCC の名前で近年報告しており,自験例もこのタイプに合致する臨床像および組織学的所見を示していた。BCC は一般的に日光露出部に好発し,男性に多く見られる腫瘍であるのに対し,ポリープ状 BCC は非露出部に発症することも多く,女性に多いことが報告されている。ポリープ様 BCC の発症機序は,外的刺激の関与など様々な説が考えられているが,明らかなものはない。