皮膚の科学
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9 巻, 1 号
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症例
  • 谷口 友則, 江藤 宏光, 前島 英樹, 齊藤 典充, 勝岡 憲生
    2010 年 9 巻 1 号 p. 59-63
    発行日: 2010/02/28
    公開日: 2011/04/26
    ジャーナル 認証あり
    61歳,女性。アレルギー性鼻炎の既往歴があり,両下腿に紫斑と血疱,浮腫を伴う紅斑を認め,しびれを伴っていた。検査所見では,末梢血好酸球数の上昇と MPO-ANCA 陽性を認めた。病理組織では,真皮全層にわたって好酸球浸潤と壊死性血管炎の像があり,Churg-Strauss 症候群と診断した。ステロイド剤とシクロホスファミド内服の併用療法を開始し,皮疹は軽快したが,多発単神経炎による末梢神経障害が強く残存した。Churg-Strauss 症候群はステロイド剤の単独治療では臨床的寛解を得られないことがあり,血管炎による臨床症状が進行する前に,速やかに免疫抑制剤併用を検討すべきである。
  • 喜多川 千恵, 山田 陽三
    2010 年 9 巻 1 号 p. 64-68
    発行日: 2010/02/28
    公開日: 2011/04/26
    ジャーナル 認証あり
    32歳, 女性。習慣性流産の既往があり, 4回目の妊娠時にはアスピリン内服とヘパリンカルシウムの自己皮下注射が開始となった。約1ヶ月後より, 腹部や大腿部の皮下注射部位に一致して浸潤性紅斑が出現し, 腹部では紅斑の中央に壊死を伴っていた。皮膚テストの結果よりヘパリンカルシウムによる遅延型アレルギーと診断した。検査しえた他のヘパリンとの交叉反応は認めなかった。本邦では同様の報告例は非常に少なく, その発症機序や代替品検索についても考察した。
  • 平井 麻起子, 石田 智子, 本田 えり子, 十一 英子
    2010 年 9 巻 1 号 p. 69-72
    発行日: 2010/02/28
    公開日: 2011/04/26
    ジャーナル 認証あり
    26歳,男性。顔面の紅斑を主訴に受診した。浸潤を触れ,下顎部では脱毛も伴っていた。病理組織学的所見で毛嚢の拡大と毛包・皮脂腺の空胞化および毛包・脂腺内にアルシャンブルー陽性の沈着物を認め,毛包性ムチン沈着症と診断した。皮疹は生検後約10日で消退し,その後約2ヶ月間再発はない。毛包性ムチン沈着症に対する種々の治療法の有効性について,1984年から2009年の25年間に本邦で報告された43例と自験例をもとに文献的に考察した。
  • 佐々木 祥人, 中坪 径子, 船坂 陽子, 錦織 千佳子
    2010 年 9 巻 1 号 p. 73-75
    発行日: 2010/02/28
    公開日: 2011/04/26
    ジャーナル 認証あり
    63歳,男性。初診2008年6月9日。約10年前に左下腿後面に黒色の隆起性腫瘍を自覚した。約2年前より増大傾向が見られ,また出血性となったため当科を受診した。有茎性腫瘍の皮膚生検で基底細胞癌 (basal cell carcinoma: BCC),充実型と診断し,5mm のマージンをつけて全摘術を施行した。有茎性またはポリープ状の臨床像を示し,病理組織像が結節潰瘍型 BCC に見られる充実型の増殖があるものを Megahed はポリープ様 BCC の名前で近年報告しており,自験例もこのタイプに合致する臨床像および組織学的所見を示していた。BCC は一般的に日光露出部に好発し,男性に多く見られる腫瘍であるのに対し,ポリープ状 BCC は非露出部に発症することも多く,女性に多いことが報告されている。ポリープ様 BCC の発症機序は,外的刺激の関与など様々な説が考えられているが,明らかなものはない。
  • 成瀬 明子, 大霜 智子, 水野 信之, 鶴田 大輔, 堀口 裕治, 曽和 順子, 柳原 茂人, 小林 裕美, 石井 正光, 横井 俊明, ...
    2010 年 9 巻 1 号 p. 76-81
    発行日: 2010/02/28
    公開日: 2011/04/26
    ジャーナル 認証あり
    生後1日女児,在胎32週,1,248g で出生。出生時より顔面や体幹,四肢に,直径 3~5mm 大,中央は陥凹し壊死を伴う褐色丘疹が散在していた。全身状態は良好であり検査所見に異常を認めなかった。病理組織像では真皮内全層にわたり腎臓形の核を有する大型な組織球様の細胞の浸潤を認め,これらは CD1a,S-100,Langerin,Lag 抗体に陽性であり Langerhans 細胞と考えた。無治療で皮疹の新生はなく生後20日で消退した。肺に嚢胞を2個認めたが呼吸器症状はなかった。現在までの2年間で皮疹は再燃せず,肺病変は不変であり,congenital self-healing reticulohistiocytosis (CSHRH) と診断した。未熟児に生じた CSHRH は稀であり,診断には抗 Langerin 抗体,Lag 抗体を用いた免疫組織化学染色が有用と考えた。
  • 山中 隆嗣, 渡辺 愛子, 中塚 伸一, 庄田 裕紀子
    2010 年 9 巻 1 号 p. 82-86
    発行日: 2010/02/28
    公開日: 2011/04/26
    ジャーナル 認証あり
    58歳,男性。17年ほど前より右大腿部に移動性の皮下腫瘤を自覚し,夏には鶏卵大まで増大し,冬には縮小していた。その特異な症状より寄生虫感染を疑った。摘出前に超音波検査を施行し,摘出時には生きた虫体を観察することができた。病理組織学的には,脂肪組織内に好酸性の外被に覆われた粗な内部構造を有する虫体と,軽度の好酸球浸潤を伴う肉芽腫反応を認める結節が確認され,ELISA 法の結果から,17年という比較的長期間寄生したマンソン孤虫症と診断した。
使用試験
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