皮膚の科学
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症例
妊娠を契機に増大し悪性黒色腫との鑑別を要した母斑細胞母斑の1例
藤原 美智子黒川 晃夫大津 詩子森脇 真一塗 隆志
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2010 年 9 巻 6 号 p. 532-535

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抄録
33歳,女性。生下時より左手掌の手関節部近傍に黒色の皮疹が存在していた。平成21年9月に第1子を出産した際,妊娠中から皮疹が拡大,隆起してきたため同年10月,当科を受診した。初診時,左手掌から手関節部にかけて径 1.8×1.2cm で黒褐色調,隆起性,軽度の染み出しを伴った腫瘤を認めた。臨床像,ダーモスコピー所見から悪性黒色腫が否定できず全身麻酔下に全摘出術を施行した。病理組織像では表皮下層から真皮内に円形ないし類円形の母斑細胞が胞巣を形成して存在しており,核の異型性は軽度であった。以上より本症例を母斑細胞母斑と診断した。本症例における母斑の増大には妊娠,出産に伴う性ホルモンの関与が示唆された。(皮膚の科学,9: 532-535, 2010)
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© 2010 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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