78歳,男性。5年前に発熱,呼吸困難を伴う肺炎,痒みを伴う皮疹を生じ,ステロイド内服を開始した。以後ステロイド減量により紅斑を再燃する経過を繰り返し,そのために5年来ステロイドを服用していた。悪性腫瘍の合併は認めなかった。前医でも薬疹が疑われたが患者の申告では内服薬はないとのことであり,皮疹の精査を目的に当科に紹介された。当院受診後,フルバスタチンがかかりつけ医で処方されていた事が判明した。処方した医師に問い合せ,7年前からの処方が判明した。フルバスタチン中止後,皮疹は2週間以内に消失し,以後9ヶ月間再燃はない。しかし,CT 上間質性肺炎の所見は残存している。フルバスタチンにより誘発された薬疹と肺炎と考えた。薬剤内服後2年後の発症であった点,再燃時にもステロイド内服中止から再発までしばらくの期間を要する点からアレルギー性の薬疹にしては非典型的である。(皮膚の科学,9: 526-531, 2010)
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