皮膚
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海綿状リンパ管腫-その発症機序についての検討-
浅野 翔一宮崎 孝夫羽田 妙子
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1986 年 28 巻 3 号 p. 227-234

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抄録

我々は, 海綿状リンパ管腫の病巣を構成するリンパ管を光顕並びに電顕で観察し, 以下の様な結果を得た。 (1) 海綿状リンパ管腫病巣の中心部は深リンパ管網の存在する部位に一致した。 (2) この病変部には拡張傾向を示す管壁の菲薄なリンパ管の他に, 管壁の肥厚したリンパ管が存在し, また, その移行部も認められた。 (3) 電顕的には, (2) に於ける拡張リンパ管と肥厚リンパ管の両方共に, 管内リンパうっ滞時にみられる内皮細胞内フィラメントの増加と連続した basal lamina が認められた。
以上の様に, 同一病巣内のリンパ管が2種類の異った病理形態を示し, しかも, この所見はいずれもリンパの逆流による管内リンパうっ滞によって生じ得る形態であることから, この病巣がリンパのうっ滞によって形成された可能性が示唆された。

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© 日本皮膚科学会大阪地方会
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