皮膚
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下肢の関節障害を誘因として発症したと考えられるシャンバーグ病の2例
國行 秀一辻 卓夫加藤 晴久濱田 稔夫
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1989 年 31 巻 2 号 p. 199-205

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抄録

シャンバーグ病の2例を経験したので報告した。症例1は29歳の男性で, 約1年半前にサッカーの試合での左足関節の捻挫に引き続いて左外顆と足背に紫斑が出現してきた。現在, 直径数cmまでの暗赤褐色斑が出現している。症例2は60歳の女性で, これまで数回にわたる転倒により左右の膝関節の打撲と腫脹をみ, また現在, 両膝の変形性関節症にて治療中である。約1年前より両下腿, 足背に紫斑が出現した。現在直径7cmまでの赤褐色斑が散在している。血管造影により, 症例2において右下腿動脈の狭窄及び動静脈瘻様の像が認められた。しかし, 両症例とも下肢に静脈瘤を認めない。また病理組織学的所見で真皮上層部にリンパ球を主とする炎症性細胞浸潤, 小血管の拡大・浮腫と一部ヘモジデリンの沈着像をみる。臨床検査成績で出血性素因など, その他特に異常を認めない。電顕所見では, 真皮毛細血管基底膜の多層化およびマクロファージによる血管外赤血球の貪食, 消化像が観察された。自験2例において関節障害が本症の発症に関与する可能性が推測された。

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© 日本皮膚科学会大阪地方会
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