皮膚
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下肢静脈瘤肢における高位結紮術前後の下肢静脈圧の変化について
伊藤 孝明樋口 早和子南 祥一郎田中 靖倉本 賢佐藤 誠紀松本 二郎森田 廣明清水 隆弘田中 幸代
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1995 年 37 巻 5 号 p. 671-676

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抄録

下肢静脈瘤12肢について, 大伏在静脈高位結紮術の前と後の, 立位静止時と足踏み運動時の下肢静脈圧を測定した。
方法は, マノメーターを用いた水柱圧による観血的静脈圧測定を行ない, 測定値は, 右心房の高さ (第4肋間中腋窩線) をOcmとした値 (右心房基準の静脈圧) に換算し検討した。
下肢静脈瘤肢では, 立位静止時の右心房基準の下肢静脈圧は3.6±3.6cmH2O (mean±SD) であったが, 足踏み運動時 (60秒) では-28.3±20.2cmH2Oに低下した。
高位結紮直後下肢静脈瘤肢の足踏み運動時における右心房基準の下肢静脈圧は,-59.2±13.5cmH2Oとなり, 結紮の前後で有意な圧低下がみられた。
また非静脈瘤肢についても, 同様の方法で測定し検討したが, 立位静止時は1.5±2.3cmH20であり, 足踏み運動時には-60.4±15.2cmH20まで低下した。
非静脈瘤肢と高位結紮直後下肢静脈瘤肢における右心房基準の下肢静脈圧の変化を比較検討したが, この2群間には有意差は認められなかった。

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© 日本皮膚科学会大阪地方会
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