2002 年 26 巻 2 号 p. 97-106
人の前腕の振戦加速度データに対するAR (autoregressive)モデルの適用が,パーキンソン病と類縁疾患との鑑別診断に有効であるかどうかを検討した.ARモデルの次数は,赤池に従って, FPE (final prediction error)を最小にする7に設定した.対象とした被験者は,パーキンソン病患者18名,本態性振戦患者20名,およびコントロールとして健常高齢者13名である.その結果,振戦疾患患者と健常高齢者の振戦については,実軸上に存在する特性根の符号,及び利き腕の振戦の基本共振周波数における周波数帯域幅に高度な有意差があり,パーキンソン病患者と本態性振戦患者の振戦については,利き腕の振戦の基本共振周波数における周波数帯域幅の分散に有意差があったので報告する.