本研究では三次元動作分析装置と床反力計を用いた動作分析の手法を用いて算出した腰部関節モーメントを指標として,階段の形状および手すりの有無が昇降時の腰部負担にどのように影響するか客観的に比較,検討することを目的とした.実験では健常高齢男性8名を対象とし,被験者は長寿社会対応住宅設計指針と建築基準法の上限値を参考にして作成した6種類の階段と手すりを使用して各基準値の階段を昇降した.実験結果より階段昇り時の腰部モーメントは蹴上げ高さの違いによって大きく影響を受けるが,踏み面の違いによってほとんど影響を受けないことが分かった.降り時には蹴上げが高くなるだけでなく,踏み面が狭くなることによっても腰部モーメントが大きくなることが分かった.また手すりの使用により,昇り時の腰部モーメントが大きく減少した.