現代マイムとは,本来人間に備わっている習性である「模倣」,「模写」という行為を創造的に発展させ,観ている人々の脳に補完を喚起し「現実を再構築させる」芸術である.従って,マイム演者の作業とは,観ている脳に想像を誘発する為の「動きによるガイド」の創作,提示である.一方,実際のイメージの構築は各々の観客がその想像過程に積極的に参加することにより個人的経験として達成される.以上のイメージ再構築のメカニズムを「CD」(クリエーティブ・ディストーション=創造的な歪みを「動きのガイド」に加えて,その模写する現実のエッセンスを強調するテクニック)というキーワードを軸に考察し,マイムにおける模写的表現の妙味を探る.