抄録
体を動かすということは,筋を収縮させて体の関節を動かすということに他ならない.そのためには中枢神経で生じた命令が電気的信号として末梢神経を経て筋に達し,最終的に筋の収縮が起こるという一連のメカニズムが働いている.これら運動神経-筋の関係は胎生期に形成され,その関係を保ったまま成長し終生変わることがない.そのため,末梢神経-筋の情報伝達メカニズムを理解するためには胎生期での神経,筋の発生に関する知識が必要となる.本稿では,末梢神経,筋の発生と神経の構造についての解説を加え,2次ニューロンレベルでの神経支配メカニズムの形成に着目して解説する.