バイオメカニズム学会誌
Print ISSN : 0285-0885
32 巻, 2 号
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解説
  • 北野 利夫
    2008 年 32 巻 2 号 p. 54
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/12/06
    ジャーナル フリー
  • 島津 晃
    2008 年 32 巻 2 号 p. 55-56
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/12/06
    ジャーナル フリー
    成長への生体力学的要因として応力,過重,細胞膜接触,温度,ガス分圧,浸透圧,電圧などが環境因子となる.中枢神経は上位から下位へ有髄化が進み,それに伴い筋力バランスは変化し,屈曲→伸展→第 2屈曲→第 2伸展優位となり,臥床,坐位から立体を獲得する.筋は白筋化し,多関節筋(駆動),単関節筋(支持)の機能分化が促進される.骨へのミネラル沈着にも力学的影響は大きい(圧電位).脊柱配列の彎曲は垂直荷重分散に働くことなどを考慮すべきである.
  • 上田 晃三, 清野 佳紀
    2008 年 32 巻 2 号 p. 57-60
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/12/06
    ジャーナル フリー
    骨の成長・発達は,骨格の構築とともに身体の発育において非常に重要な因子である.多くの骨はいきなり形成されるのではなく,軟骨組織による足場の形成を経て骨へと変換される.このプロセスには種々の細胞間シグナル伝達,遺伝子の転写因子といった内因性の要因や力学的付加など外因性因子を含む数多くの因子が絡み合って,骨形成に影響を与えている.骨形成の一般的な過程とともに,特徴的な症状を呈する骨疾患の成因を通じて,骨形成に関与する主要な因子を概説する.
  • 北野 利夫
    2008 年 32 巻 2 号 p. 61-64
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/12/06
    ジャーナル フリー
    DNAに込められた成長・発達のプログラム,外的環境への適応,変形に対する自家矯正などの発育期における現象を理解するために,四肢の関節,筋肉の成長・発達について解説する.筋の発達は筋の構成単位としての筋線維や臓器としての筋組織の発達と神経系支配により高度に統合された関節の運動制御機構としての発達として理解する.四肢の関節を構成する骨の両側には,成長軟骨板が骨端と骨幹端の間に形成され,関節の横径および長軸方向の成長を担う.この関節内の解剖学的特徴から,関節を含め四肢が成長し,同時に形状が変化してゆく.生理的な成長とそれに伴う形態的変化と,成長に伴う非生理的な形態的変化についての実例を挙げ解説し,最後に,矯正についての考え方と成長・発達の人工的な制御について触れる.
  • 寺井 秀富
    2008 年 32 巻 2 号 p. 65-68
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/12/06
    ジャーナル フリー
    体を動かすということは,筋を収縮させて体の関節を動かすということに他ならない.そのためには中枢神経で生じた命令が電気的信号として末梢神経を経て筋に達し,最終的に筋の収縮が起こるという一連のメカニズムが働いている.これら運動神経-筋の関係は胎生期に形成され,その関係を保ったまま成長し終生変わることがない.そのため,末梢神経-筋の情報伝達メカニズムを理解するためには胎生期での神経,筋の発生に関する知識が必要となる.本稿では,末梢神経,筋の発生と神経の構造についての解説を加え,2次ニューロンレベルでの神経支配メカニズムの形成に着目して解説する.
  • 常石 秀市
    2008 年 32 巻 2 号 p. 69-73
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/12/06
    ジャーナル フリー
    ヒトにおいて視覚は最大の情報量を得る感覚器であり,その発達は胎児期から始まり幼児期にかけてめざましく進む.その過程には遺伝的要因のみならず,環境要因も大きな影響をもつ.視機能は視力だけでなく,両眼視(立体視),視野,視覚認知も含めたバランスのとれた発達が重要である.聴覚は出生時にはかなり完成しており,言語発達に不可欠なものである.視覚・聴覚中枢の発達にはそれぞれ臨界期があり,発達障害を早期発見しないと修正治療が不可能である.触覚も出生時にほぼ完成しているが,その有効な情報処理には視覚をはじめとした他の感覚との協調と経験が不可欠である.これら感覚器から得られた情報は,姿勢・運動の巧緻性のために不可欠なものである.
  • 前川 喜平
    2008 年 32 巻 2 号 p. 74-82
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/12/06
    ジャーナル フリー
    人間の高次脳機能は知能だけではないので,総称して知性と呼ぶ.認知心理学によると知性は1つではなく多数の並列した多重構造,機能的単位構造(モジュール)より構成されている.モジュールは階層性で,これらを統合する中枢処理系の存在が予想されている.さらに認知脳科学の進歩により認知心理学で想定されていたモジュールが,生物学的実態(脳構造)として実際に存在することが,これらの知性をスーパーバイズする前頭連合野の機能と共に解明されている.発達神経学,認知心理学,認知脳科学の知識を基にして高次機能の発達についてまとめた.
研究
  • 畑山 由佳, 天賀 典彦, 市江 雅芳
    2008 年 32 巻 2 号 p. 83-89
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/12/06
    ジャーナル フリー
    歩行運動のきっかけとペースを与える聴覚刺激として,音楽 MIDIデータを加工したペーシング音楽を作成した.そこで,健常者の歩行実験を行い,ドラム・ベースパートを強調したペーシング音楽とドラム・ベースパートを削除したペーシング音楽,メトロノームクリック音を比較した.その結果,メトロノームクリック音が最もペーシングのテンポ情報を明確に提示できた.ドラム・ベースパートを強調したペーシング音楽もテンポ情報提示が可能で,単調なメトロノームクリック音に比べると,集中力の持続が期待できた.
  • 杉本 誠二, 中島 求, 市川 浩, 野村 武男
    2008 年 32 巻 2 号 p. 90-97
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/12/06
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,シミュレーションモデル SWUM(Swimming hUman Model)によって水中ドルフィンキックの推進メカニズムを解明することであった.エリート競泳選手8名を対象にシミュレーション用入力データを算出し, SWUMを応用することでシミュレーション上に水中ドルフィンキックのダイナミクスを再現し,泳中の推進力と関節トルクを算出した.結果として,水中ドルフィンキックの推進力は主に足部で発揮され,推進力発揮には下肢だけではなく体幹でのトルク発揮が重要であることが明らかとなった.さらに,バタフライ泳者で腰痛が起こりやすい要因の 1つとして,水中ドルフィンキック泳中に体幹で大きな関節トルクを周期的に発揮していることが挙げられた.
  • 酒井 利奈, 佐藤 祐輔, 糸満 盛憲, 馬渕 清資
    2008 年 32 巻 2 号 p. 98-105
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/12/06
    ジャーナル フリー
    セメントレス人工股関節の初期固定性とステム形状の間には関連がある.特に回旋方向にかかるような複雑な荷重に対しては機械的な固定が施された股関節ステム形状が良好な初期固定を得ると推測する.本報告においては北里大学のグループが開発したIMCステムの横止めピンを用いた特徴的な固定方法が初期固定に寄与するか否かについて有限要素解析を用いて明らかにすることを目的とした.
    解析条件は摩擦係数0.1,滑りを考慮したオートマチックコンタクト,大腿骨遠位端を拘束とした.荷重条件は,i)股関節周囲部における関節合力をステップ荷重として負荷した場合,ii)捻転を想定した回旋方向の荷重を負荷した場合,iii)歩行中に骨頭にかかる荷重を負荷した場合の3パターンを再現した.シミュレーションによりIMCステムのx軸方向,y軸方向,z軸方向,回旋方向の変位量を算出し,ステムと骨の応力を求めた.
    臨床上問題となる回旋変位量は他の人工股関節ステムを対象とした報告と比較して,IMCステムは低値を示した.いずれの荷重条件においても,z軸方向の変位量が低値を示したことより,シンキングの危険性は低いことが明らかになった.
    特徴的な固定部位である横止めピンは回旋を抑制するために機能しており,IMCステムの固定法は回旋安定性に寄与すると考えられた.特定の部位に応力集中は認められなかったため,IMCステムと骨の破損の危険性はないと判断した.初期固定に適当とされる応力値を有していることからIMCステムは良好な固定性が得られると推察した.
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