2011 年 35 巻 1 号 p. 21-27
近年,メンタルヘルスの低下,特にうつ病患者の増加が社会問題となっている.そこで,本稿では,うつ病の代表的な症状の一つである睡眠障害に着目し,健常者およびうつ病患者の睡眠状態の比較を目的とした.そして,加速度計を用いて睡眠中の寝返りを検出し,寝返りの頻度より睡眠深度を2 段階に分類した.さらに,睡眠状態を比較する指標として,睡眠の質得点(SQS),短時間睡眠の質得点(S-SQS),標準SQS 変動率の3 つの指標を提案した.最後に,健常者およびうつ病患者に対して,提案指標の長期連続計測実験を行った結果,両者間に有意な差が確認され,継続的なうつ状態が,睡眠深度を浅くし,睡眠の質得点や標準SQS 変動率の低下をもたらしたことが示唆された.