抄録
生体軟組織は機能の種類や疾患の程度によって組成や構築が異なるため,力学的物性も異なる.力学的物性は,対象から小片を切り出してレオメータにより測定することができる.しかし,レオメータでは不均一な物体の3 次元的な粘弾性率分布を測定することは困難である.また,生体軟組織の粘弾性を調べる場合には標本の切り出しは侵襲的であり,被検者への大きな負担となる.また,たとえ切り出せたとしても,組織本来の性質や状態は切り出すことによって変化するため,生体内での粘弾性率を得ることはできない.本稿では,磁気共鳴画像装置 (magnetic resonance imaging: MRI) を用いて生体組織の粘弾性分布を非侵襲的かつ定量的に測定可能なMR elastography (MRE) の原理とシステム構成を中心に紹介する.