抄録
本研究の目的は,片膝立ちや後方からの移乗介助動作時の腰部負担に与える影響について,また各姿位におけるトランスファーボード(以下TB)の腰部負担軽減効果を三次元動作解析装置を用いて明らかにすることである.対象は健常成人男性10 名とし,内1 名は被介助者とした.計測条件として移乗補助器具を使用しない立位移乗をコントロール課題とし,片膝立ち位からの移乗,後方からの移乗,TB を使用し片膝立ち位からの移乗,TB を使用し後方からの移乗,以上5 つの動作とした.結果として補助器具を使用しない移乗と比較してその他の条件は椎間板圧縮力が減少した.なかでも,TB を使用した後方からの移乗の椎間板圧縮力が最小となった.以上より,工夫された移乗介助動作は腰部負担軽減に有効であり,中でも最も有効なのはTB を使用した後方からの移乗であることが示唆された.