バイオメカニズム学会誌
Print ISSN : 0285-0885
研究
軽度認知症者の認知特性と情報端末入力方式に関する研究
二瓶 美里吉武 宏武澤 友広石渡 利奈井上 剛伸鎌田 実
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2012 年 36 巻 3 号 p. 162-171

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抄録

認知症は進行すると認知機能の低下によって情報端末などの電子機器の使用が困難になる.一方で情報端末は情報の記録からコミュニケーションまで様々な用途に使用されており,高齢者や認知症者の支援ツールとして期待されている.本研究では認知症者(アルツハイマー病患者)の認知機能特性と情報端末使用の実行可能性の関係を明らかにし,認知機能特性に合わせた情報端末の入力方式と情報呈示方法を提案した.アルツハイマー病患者13 名を対象とした操作・課題実行実験の結果,認知症が軽度(CDR0.5)であれば「文字入力」が可能だが「ボタン操作」や「記憶の想起」に関する一連の操作には補助が必要であることを確認した.また,高齢者20 名を対象とした「文字入力」「記憶の想起」に関する実験を行った.その結果,注意機能が低下すると使用経験に関わらずQWERTY 配列の操作がしづらくなることがわかった.さらに,逐次的な情報呈示,すなわち一画面内の情報量を制限し一画面内で完結した指示を行うことで,わかりやすさだけではなく近時記憶の想起が促されることがわかった.

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© 2012 バイオメカニズム学会
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