2014 年 38 巻 1 号 p. 53-59
指屈筋腱断裂の治療において,早期屈伸運動により可動域を再獲得するため,腱縫合術が行われるが,強度低下に伴う縫合部のギャップの出現は癒着の原因となり,可動域制限を起こしうる.そのため様々な縫合方法が模索されている.一方で,臨床上,腱の周囲縫合を行う場合には,軟部組織が周囲にあるため,全周性に縫合することは,患者への負担や時間のかかる大きな手術にもなる.したがって,半周性縫合が現実的なことも指摘されている.そこで本研究では,数種類の方法で縫合された人工靭帯に対して,生理的で鋭敏な試験である繰り返し荷重試験を行い,得られた結果に対し比較検討を行ったので報告する.